さがみゆき「血まみれ人形」(1986年2月6日発行/黄42)
さがみゆき「血まみれ人形」(1988年3月6日発行/黄238)

「家が貧しいために中学卒業後、お手伝いとして働くこととなった、林ゆみ子。
 ゆみ子が住み込みで働く屋敷には、同じ年頃のリエと、彼女の継母が住んでいた。リエの父は外国に長期出張しており、不在。
 お手伝いというものの、ゆみ子の仕事はもっぱらリエの相手をすることだった。
 リエは美しく、聡明な少女であったが、ミチと名付けた女の子の人形を大事そうに抱き、その人形が生きているかのように扱っていた。
 また、リエは継母に激しい憎悪を燃やし、実の母親が死んだのは継母のせいだと信じていた。
 そして、財産を手に入れるために、実は父親をすでに殺しており、次に狙われているのは自分だと、リエはゆみ子に話す。
 半信半疑のゆみ子は、継母からリエの頭が少しおかしいと注意されるものの、リエの奇行に徐々に影響されていく。
 ある夜、ゆみ子は人形のミチがひとりでに「フクシュウ フクシュウ」と呟きながら、廊下を歩くさまを見る。
 意識を失った、ゆみ子は、継母に事情を話すが、継母は人形が生きているなんて、鼻で笑う。
 その夜、ゆみ子はまたもや人形が歩く場面に遭遇するが、その場に居合わせた継母は高笑いすると、人形を踏みにじり、ムチャクチャにしてしまう。
 ミチを壊されたリエは庭にミチの墓をつくるが、それ以降、リエは徐々にやつれていく。
 しかし、嵐の夜、ゆみ子の部屋にやってきたリエはゆみ子に、ミチが帰ってくると話す。
 そして、ゆみ子は窓の向こうでミチが雷光に照らし出されるのを見るのだった…」

 1980年代にひばり書房に描かれた単行本は二冊しかないようですが、そのうちの一冊です。(もう一冊は「はつ恋地獄変」)
 時代の流れとともに、荒唐無稽さは鳴りを静め、(子供向けにしては)ヘビ〜なサイコ・スリラーとなっています。
(ストーリーとしては、どこかで読んだり観たりしたことがある感がありますが、はっきりと指摘できないのが、もどかしいところ。)
 まあ、ストーリー云々よりも、後半で明らかになる、金持ちのお嬢様の凶悪なキチガイぶりの方が遥かに強烈で、子供心に深いトラウマを残したのではないでしょうか。
 また、この頃の絵は妙に艶っぽくて、継母の肉感さがエロマンガと同じオーラを発しており、そこも個人的には魅力です。
 今現在読んでも十分面白い、佳作だと思います。

平成27年12月11日 ページ作成・執筆

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