三智伸太郎「血に染まる恐怖の夢」(1987年10月16日発行/青184)

「鎌倉。
 中学一年生の藤未紀は、作家の母親と二人暮らし。
 彼女は物心ついた時から、眠る時には、同じ夢を見ていた。
 その夢は、水滴が水たまりに落ちる夢で、その音は心臓の鼓動と同調し、安らかな眠りに入ることができた。
 だが、ある夜、夢の中の水滴が血へと変わる。
 その翌日、取材のために向かった福島の山奥で、母親が熊に襲われて亡くなるという知らせが入る。
 母親の死体は熊に食べられたらしく、なく、その後、その熊は猟師により射殺。
 猟師の家でその熊を食べる際、未紀も肉を勧められるが、「その肉を食べては駄目!!」という声がどこからか聞こえる。
 直後、食中毒が発生し、未紀以外は皆、ダウン。
 その時、熊の死体から煙のようなものが現れ、未紀を覆う。
 それは母親の霊魂で、未紀の身体の中に入り込む。
 母親の霊魂は未紀を守ろうとするが、未紀の見る夢に、過去の自分のあやまちが秘められていることを知る。
 未紀は、夢の秘密を知るために、母親の霊魂と対決することとなるのだが…」

 不思議な味わいのある作品です。
 母親の霊魂が娘を守る話かと思いきや、後半、ヒロインの夢の秘密に焦点が移り、納得できるようなできないようなラストを迎えます。
 母親をどう感じるかによって、評価が変わるでしょう。
 個人的には、ヒロインの肉親である、離婚した父親を、秘密を守るために、殺したのは、やり過ぎだと思います。
 あと、人を食べた熊の肉を食べようとするのもちょっと…。

2020年11月25日 ページ作成・執筆

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