城たけし「呪われた巨人ファン」(1986年1月16日発行/黄81)

「三上ひろしは大の巨人キチの少年(11歳)。
 ある夜、ひろしは、後楽園球場にて、巨人・阪神戦のナイターを観戦する。
 同点で迎えた九回表、江川の球を掛布が打ち、勝ち越しのホームランとなる。
 巨人が負けて、失意のひろしであったが、帰宅後、テレビでは巨人が勝ったニュースが流れていた。
 ひろしは自分の見たことを両親に話すが、信じてはもらえない。
 その場にいた証拠を求められ、ひろしは、観覧席の隣にいたアル中のおっさんを思い出す。
 おっさんは試合の途中、酒の飲み過ぎでひっくり返り、医務室に運ばれていた。
 球場に問い合わせると、おっさんは水道橋病院に運ばれており、病院にひろしが向かうと、おっさんはもうこの世のものではなかった。
 途方に暮れた、ひろしが家に帰りづらいところに、彼の前に、おっさんの幽霊が現れる。
 おっさんの幽霊は、身内に彼の死を知らせてくれるよう、ひろしに頼み、自身の死亡診断書を渡す。
 幽霊の依頼は果たしたものの、結局、彼が後楽園球場にいたことの証明にはならず、ひろしは自分も幽霊のようなものだと思い始める。
 ヤケになった、ひろしは、様々な奇行に走るようになり、特に、阪神ファンの父親に敵意をむき出しにする。
 彼の見た巨人・阪神戦は何だったのであろうか…?」

 「野球ファン新怪奇」のジャンルで後にも先にもこれ一冊だけという、「オンリー・ワン」な作品です。
 タイトルの強烈さ、分裂的なストーリー、不安感を無闇に煽る、意味不明な描写の数々…とマニア受けする要素がてんこ盛りで、今や、ヒバリ・ヒット・コミックスを代表する一冊となっております。(昔には考えられなかったプレミア価格が付いております。)
 でも、個人的には、趣味でないです。
 理由は単純、私は野球が嫌いだから。(注1)
 「坊主憎けりゃ云々」の道理で、この作品にも全く興味を抱けません。
 まあ、私よりも遥かに怪奇マンガに詳しい人達があちこちで、この作品についてアツく語っておりますので、そちらを参考にしていただけると幸いです。

 この作品、鶴岡法斎氏・編「呪われたマンガファン」(ジャパン・ミックス株式会社)にて、復刻されております。
 こちらはヒバリ・ヒット・コミックスの単行本ほど、べらぼうなプレミアはついておりませんので、どうしても読みたい方は「呪われたマンガファン」をお勧めいたします。

・注1
 野球が嫌いな理由を一応、述べておきます。
 私は少年の頃、映画狂でありました。
 しかし、田舎に住む身で、映画館なんてシャレたものはなく、テレビも4チャンネルのみ(そのうち、二つはNHK。)
 ビデオ・デッキを購入する前は、夜の九時から始まる「○○ロードショー」を観るのが、大の楽しみだったのです。
 だが、そんな私の楽しみに水を差しまくったのが、野球番組でありました。
 しょっちゅう延長しては、映画の開始が遅れるのです。
 ようやく始まったと思って観ていたら、子供の身の上、11時を過ぎたら、寝ろと両親がくどくど言ってくるのです。
 こういったことが度重なり、俺は野球が嫌いになった!!
 私のような人間は地味に多いのではないかと考えております。

2018年4月12日 ページ作成・執筆

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