なかのゆみ「菊の恨み女がにくい」(1987年11月6日発行/青183)
「高校生の夕湖は、路上で買い物袋を落とした際に、拾うのを手伝ってくれた会社員の男性に一目惚れ。
彼への想いは冷めることなく、高校三年の時に、彼に再会する。
男性の名は尾方雅道といい、父親と広い屋敷で二人暮らしであった。
夕湖は短大に入ってからも、粘り強く彼にアタックするが、彼はどことなく彼女を避ける。
と言うのも、尾方家に関係する女性は皆、ひとい火傷によって変死していたからであった。
その話を聞いても、夕湖の愛は揺るがず、二人は婚約する。
だが、結婚式を前にして、雅道の父親が亡くなる。
その遺体を前にしていた時、夕湖の前に、キクと名乗る亡霊が現れ、彼女に家に来ないよう警告する。
結婚式の後、雅道と夕湖は屋敷を処分することを決める。
売る前に、夕湖は女友達のめぐみと共に屋敷の庭を散策していると、外れに一軒の古ぼけた小屋がある。
中には美しい女性の古い写真があり、裏には「お菊」と書かれていた。
更に、めぐみはくしとかんざしを見つけるが、かんざしを大きな壺の中に落としてしまう。
めぐみがかんざしを取ろうと壺に手を入れると、彼女の腕は肩から切断されてしまう。
この事故の捜査のため、夕湖は、刑事達の前で、めぐみがやったように実演する。
すると、夕湖の身体は壺に吸い込まれて、消えてしまう。
明治時代にタイム・スリップした夕湖が目にした、お菊の悲惨な生涯とは…?」
現在もレディース・コミックにて活躍される、なかのゆみ先生。
ヒバリ・ヒット・コミックスに描かれた作品は、後のレディコミ路線(「恐怖の快楽」とか、あのあたり)を予感させる内容かもしれません。
どの作品も陰湿で、ドロドロしております。
この作品の後半なんか、「姑に責められる、病弱な妻が顔を二度も火傷して、発狂していく」という話が描かれ、メチャクチャ、ダウナー。
また、突然すぎる片腕切断の描写や、発狂した女がケロイドの顔に白粉を塗りたくって、骸骨のような面になっている描写等、素朴な絵柄のためにかえって、精神的ダメージが倍増しております。
でも、ラストはハッピー・エンドで、ストーリー自体は非常にいいと思います。
ただし、あまり読み返したくない…そんな感じの作品です。
2018年2月20日 ページ作成・執筆