森由岐子「顔のないみがわり美人」(1988年9月16日発行/黄239)
「高校二年生の三浦のぞみは、決して美人とは言えない容貌にコンプレックスを抱いていた。
彼女は、女子生徒の憧れ、日高正志にべた惚れしていたが、学校では全く気のないふりに徹する。
また、のぞみの友人で、美人の田代愛子も彼には全く関心を示さなかったが、彼の方は彼女にお熱であった。
のぞみは正志に近づくために、愛子について徹底的に研究し、その真似をするのに死に物狂いの努力をする。
その労が実り、のぞみは愛子の声色を使い、電話を通じて彼と交際することに成功する。
だが、電話のみでの交際に正志は我慢できず、直接、会いに行くと言い出し、のぞみは窮地に陥る。
切羽詰まった、のぞみは、朝の混雑する駅で、愛子を線路に突き落とす。
愛子は命は助かったものの顔に大怪我を負い、長期入院の身となる。
その間、のぞみは、顔に包帯を巻き、愛子に化けて、正志と逢瀬を重ねる。
一方の愛子は何度も顔の手術を繰り返し、春、引っ越しをして、のぞみの前から姿を消す。
のぞみは、顔を愛子に似せて整形し、晴れて正志と交際を始める。
だが、幸せ絶頂の彼女の前に、顔のひび割れた、謎の女が出没するようになる。
しかも、女の姿はどうも彼女にしか見えていない様子だった。
のぞみは、女の正体が愛子ではないかと疑い、彼女の引っ越し先を訪ねるのだが、愛子はすでに自殺をしていた。
謎の女の正体とは…?」
2018年12月22・23日 ページ作成・執筆