日野日出志「呪われた赤ん坊が…」(「恐怖・地獄少女」より)
(1987年9月16日発行/青180)
「城明大学附属病院産婦人科。
嵐の夜に双子の女児が産まれる。
一人は普通の赤ん坊であったが、片方は恐ろしいまでに異常であった。
産まれた時から既に目が開き、牙が生え、その醜さは「悪魔」のよう。
父親はその「悪魔」の赤ん坊を「この世の墓場」と呼ばれる「この世のありとあらゆるゴミの捨て場所」にビニール袋に入れて捨てる。
赤ん坊は死んで、腐っていくが、ある夜、墓場中から集まった鬼火が合体し、巨大な火の玉になると、そこから「鋭い電光のような光」が走り、赤ん坊を貫く。
それによって赤ん坊は蘇生し、ある穴を住処として、暮らし始める。
七年後、激しい生存競争をくぐり抜け、少女は「この世の墓場」の女王として君臨していた。
その頃、彼女はゴミの山の向こうに見える「町の灯」に魅せられるようになる。
その思いは日に日に強まり、ある夜、彼女は町に行ってみる。
そこで奇妙な動物をたくさん目にするが、一番印象に残ったのは同じ年頃の女の子と彼女の「お父さん お母さん」という言葉であった。
少女はゴミ捨て場に戻ってから、少女用の服を捜し出し着て、櫛で髪の毛を整える。
その夜、巨大な鬼火の中に老婆が現れ、少女に「人間どもに対する復讐のときがきた」と告げる。
老婆は少女がその醜さ故にこの場所に捨てられたことを教え、町に出れば、自分の運命を知ることができると話す。
少女は町に出るが、散歩中の犬に吠えかかられ、犬を喰い殺し、飼い主の片手を噛みちぎって逃走。
これにより少女は人肉の味を覚え、夜な夜な人を次々と襲っていくのだが…。
彼女を待ち受ける運命、そして、彼女の決断とは…?」
日野日出志先生の名作の一つです。
廣済堂の「恐怖・地獄少女」がオリジナルのようですが、未入手のため、差異についてはわかりません。
異形のものが闇から産まれ、闇に帰っていくストーリーで、ラストは意外や、しんみりします。
2024年1月29日 ページ作成・執筆