古賀新一「いなずま少女」(1982年12月6日発行/下135 1988年3月16日発行・下223)
収録作品
・「いなずま少女」
「望月冴子は毎夜、不気味な夢を見る。
それは、古い小屋に、鎖をつけて、閉じ込められた老婆が、窓から助けを求めているというものであった。
ある日、両親から立ち入りを禁止されている森に、冴子は友人と共に入る。
森の中には、夢で見たのと同じ小屋があり、雷雨に見舞われた二人はその小屋に駆け込む。
小屋の中には墓石が立っていて、気味悪く思った二人は小屋を出ようとする。
その時、雷光とともに、老婆が墓石から現れ、冴子に襲いかかる。
友人に声をかけられ、意識を取り戻した冴子は、家に慌てて戻り、母親に森について尋ねるが、うやむやにされてしまう。
実は、この墓は、父親の乳母だった老婆のものであった。
数年前、老婆は、冴子の両親のもとで暮らしていたが、冷遇され、いたたまれずに家を出たところを、落雷にあって死んだのである。
雷光とともに復活した、老婆の幽霊は、冴子の血を吸って、若さを得る。
遂には、冴子と入れ替わった老婆は、冴子の両親に復讐しようと画策する。
そして、老婆の姿になった冴子の運命は…?」
怪奇ものに「悪天候」はつきものでありますが、「雷光がないと、パワーを発揮できない幽霊」というのは珍しいかもしれません。
雷さえありゃあ、幻覚を見せたり、他人を操ったり、分身までしておりますので、凄いと言えば凄いのです。
現実問題としては、ちょっと無理がありますけど…。
ちなみに、好美のぼる先生に「稲妻少女」(貸本/曙出版)という作品があります。
恐らく、入手はほぼ不可能ですので、どういう内容かご存知の方が、もしもおられましたら、お知らせいただけますと、幸いです。
・「恐怖の材木少女」
「おじいさんが大切にしている、庭の木を美佐は切り倒す。
すると、その夜、美佐の身体は木に変身していく。
家をとび出した美佐は…」
10ページちょっとの短編ですが、意外なオチがあります。
古賀新一先生しか描けないマンガかも…。
「わたしの葬式」(ひばり書房黒枠)からの再録であります。
・「血、血がほしい!」(マーガレット/1966年発行)
「自然豊かな郊外の屋敷。
そこに、肺病を患う英子と、孤児院からもらわれた由紀が、優しい両親と共に暮らしていた。
ある日、英子と由紀が野原で散歩していると、由紀が蛇に噛まれてしまう。
とっさに英子が傷口に吸い付いて、毒を吐き出すが、その時に、英子は由紀の血を飲んでしまう。
その日以来、英子はめきめきと丈夫になり、反対に、由紀は衰弱していく。
実は、英子はこっそり由紀の傷口から血を飲んでいたのだった。
由紀は家から出る決心をするのだが…」
タイトルからわかるように、「吸血鬼」ものです。
血に飢え、就寝中に歯ぎしりの音を立てる少女の描写は、唯一無二なのではないでしょうか?(なにもあれだけ歯を剥き出しにしなくても…。)
ひばり書房の黒枠単行本からの再刊であります。
ただし、もとの「死をよぶ鏡」が「恐怖の材木少女」と入れ替えになっております。
2016年10月12日 ページ作成・執筆