さがみゆき「怪談お七狂乱」(1979年9月20日発行/黒108・1987年1月6日発行/青147)

「主人殺しの罪により、身籠りの身であるにもかかわらず、打ち首獄門となったお徳。
 そのお徳の怨念のこもった、花嫁衣装の振袖に手を通した少女達は次々と怪死を遂げる。
 本妙寺では、呪われた振袖の供養が施行されるが、一陣の突風が火のついた振袖を舞い上がり、本堂に燃え移る。
 火は強風にあおられて、たちまち燃え広がり、二日の間に江戸市内の三分の二を焼け野原に変えてしまう。
 この火事の際、八百屋の大店の娘、お七は命からがら、駒込の吉祥寺へ避難する。
 幾日か経ち、落ち着いて来た頃、散歩中のお七はあるお経堂の中から自分を呼ぶ声に気付く。
 その堂の中には見目麗しい寺小姓がおり、戸口には忌み札が貼られていた。
 乞われるがまま、お七は封印の忌み札を剥がす。
 吉三郎と名のる寺小姓に一目惚れした、お七は、秘密裏に逢瀬を重なる。
 しかし、怪しんだ、お七の母親が後をつけると、お堂でお七が語り合っていたのは、死霊であった。
 吉三郎の正体は…? そして、お七の運命は…?」

 「振袖火事」+「八百屋お七」meet「牡丹燈籠」といった趣でしょうか。
 ラストは、やっぱり「純愛」で締めてくれます。
 ただ、マンガの中では吉三郎が振袖の因縁に絡んでくるのですが、若干説明不足で、話が分かりにくい印象があります。
 吉三郎をもっとストーリーに絡めたら、ストーリーに奥行きが出たように思います。
 まあ、くどくど言わずに、さがみゆき先生の描く「群衆」を味わいましょう。(あんなキャラや、こんなキャラが…)

2016年5月28日 ページ作成・執筆

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