なかのゆみ「花嫁に恐怖の花を」(1988年6月16日発行/青138)

「佐渡で生まれ育った、丸山里美と雪子は親友同士。
 祖父と二人暮らしの雪子は、中学を卒業後、東京に出て、スーパーで働きながら、定時制高校へ通う。
 一方、高校に進学した里美は東京の大学に合格、上京する。
 里美が雪子を訪ねると、東京で生活するうちに、彼女はとても垢抜けた美人になっていた。
 更に、働いているスーパーの若社長に気に入られ、数日後に結婚すると言う。
 だが、結婚を契機に、雪子とは疎遠になる。
 数年が過ぎた頃、里美は、夏休みを利用して、奥多摩へ出かける。
 そこで、とあるきっかけから、陶芸を営む矢野という男性と知り合う。
 彼に惹かれるものを感じ、里美は彼の家を訪ねたり、手紙をまめに出すが、なしのつぶてに終わる。
 ある日、久々に雪子と再会した際、家族写真を見ると、雪子の旦那は矢野とそっくりであった。
 すぐに、奥多摩の矢野の家を訪ねると、矢野が首吊り自殺をしようとしており、里美は彼の自殺を止める。
 里美の想いを通じ、彼は再び生きる意欲を取り戻し、二人は結婚を約束する。
 しかし、ある日、里美がこのことを知らせに、雪子の家を訪ねると、雪子の夫と対面、彼は矢野であった。
 だまされていたことを知り、悲嘆に暮れた雪子は、奥多摩の矢野の家で焼身自殺を遂げる。
 実は深い事情を抱えていた矢野は、里美を想いながら、焼けた家の土で陶器をつくるのだが…」

 不思議な味わいのある作品です。
 一応は怪奇マンガですので、バッド・トリップのような怪奇描写があることはありますが、作品は「人間にとって本当の幸福とは何か?」というものをテーマに据えているため、妙チクリンな怪奇描写は正直、蛇足かも…。
 見所は、精神異常者に襲われた際にお経を唱えて逃げ延びるシーンと、ラストの地味過ぎるサイキック描写でしょう。
 ラストの一コマは余韻に溢れてます。

2018年2月22・23日 ページ作成・執筆

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