日野日出志「赤い蛇」(1986年9月6日発行/青67)

「分厚い森に囲まれた、巨大な旧家の屋敷。
 そこに住む少年は、この屋敷を好きになれず、物心ついた頃より家を出たいと思っていた。
 また、少年は自分の家族をも恐れていた。
 右の頬に大きなコブをつけた祖父。
 自分を鶏と思い込んでいる祖母。
 鶏を百匹近く飼育し、卵を祖母に与えている父親。
 その卵の白身で、祖父のコブをマッサージして、膿を出すのが仕事の母親。
 虫を溺愛し、身体中に這わして喜ぶ姉。
 ある夜、少年は夢の中で何者かに呼ばれる。
 幽体となった少年が声に導かれ、向かった先は、巨大な青銅の鏡で封印された廊下であった。
 この鏡は魔除けのためのもので、この向こうには「あかずの間」があり、「恐ろしい魔が棲みついている」と少年は祖父に聞かされていた。
 鏡を通り抜け、廊下の果てにある「あかずの間」の扉が開いた時、少年は目を覚ます。
 同時に、姉が寝床で「あかずの間」の使いと言われる「赤い蛇」に足を噛まれる。
 祖父が鏡の廊下に駆け付けると、封印の鏡は割れていた。
 屋敷に魔が放たれたのか、世にも奇怪な出来事が次々と少年とその家族を襲う…」

 ヒバリ・ヒット・コミックスにて発表された、「ある地獄絵師の告白 地獄変」と双璧をなす、日野日出志先生の代表作です。
 のみならず、日本の怪奇マンガの一つの頂点であり、個人的には、日野日出志先生の最高傑作だと考えております。
 と、しのごの言っても仕方ありません。
 復刻が出ていますので、興味を持たれた方には是非とも読んでいただきたい!!(ただし、猛烈にグロいので、そこは注意してください。)
 個人的に、この作品の魅力は、「倒錯したエロティシズム」と「後半の超ド級なバッド・トリップな展開」です。
 この点に関して、多少なりとも、解説めいたことを書こうかと考えましたが、私の貧弱なノ〜ミソでは手に負えませんので、やめました。(そういうことは、アカデミックな方達にお任せいたします。)
 未読の方には、余計な先入観はなしに、まっさらな心持で、作品に目を通されることをお勧めします。
 好き嫌いを超えて、「何か」感じるものがあると思います。(でも、やっぱり、グロいのがダメは人は避けた方が賢明です。)

2017年5月4日 ページ作成・執筆

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