なかのゆみ「血に染まる月下美人」(1988年10月16日発行/青243)

「大島由香の母親が不慮の死を遂げてから、二年目、父親が再婚する。
 再婚相手の女性には、由香より一歳年上の、あけみという連れ子がいた。
 由香は四人家族になると喜ぶが、結婚後、父親がドイツに単身赴任することになる。
 しかし、父親が日本を離れた途端、再婚相手とあけみの態度が豹変。
 二人がかりでことあるごとに由香をいびり、嫌がらせをする。
 由香は父親に手紙を書くが、偽の住所を教えられたために、由香の訴えは届かない。
 絶望した由香は、高山に登り、満天の星空の下、手首を切って、自殺を図る。
 由香の失踪から数か月後、二学期が始まる前に、由香が家に帰ってくる。
 以来、母親とあけみは様々な怪異に見舞われることとなる…」

 幾多とある「幽霊となって復讐する」話なのですが、全編に渡ってネチネチとしている点が印象的でした。
 特に、自殺した娘の幽霊は、幽霊ゆえか、幻覚や悪夢を見せることしかできないため、爽快感というものがありません。
 耳をカッターで削いで、その耳を食べたり、見知らぬ館で腕の大群に襲われるといった悪夢の描写は「イヤなイメージ」に満ち溢れております。
 でも、結局は「喉元過ぎれば云々」という通り、継母やその娘にはあまり効果のなかった模様で、ラストは、母親の霊の宿った月下美人が直接手を下してます。
 もしかしたら、「霊の宿った月下美人が暴れまくる」ストーリーにした方が面白かったかもね。
 まあ、このマンガは本編よりも巻末の「天才マンガ家 つげ義春先生にお会いして」の方が興味深かったです。
 感動しまくりの本文はいろいろな意味で味わい深いのですが、更に、つげ義春先生となかのゆみ先生のツー・ショット写真もあり。(コミックの袖にある、なかのゆみ先生の写真(ピースサインでない方)はここから取られてます。)
 ついでに、サインも掲載して欲しかったものです。

 鶴岡法斎氏・編「呪われたマンガファン」(ジャパン・ミックス株式会社)にて復刻されております。

2018年2月25日 ページ作成・執筆

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