川島のりかず「地獄花」(1988年8月16日発行/青171)

「夢子は高木哲夫という青年の運転する車に轢かれ、失明。
 また、そのことを知った、たった一人の身内だった母親がショック死して、孤独な身の上となる。
 一時は生きる気力をなくした夢子だが、哲夫の心のこもった対応により、徐々に打ち解けていく。
 夢子は心の中にある哲夫の面影を支えとして、目の手術を受ける決意をし、視力を取り戻す。
 が、手術以降、哲夫は夢子の前から姿を消してしまう。
 哲夫に会いに、夢子は実家のある島を訪れる。
 ようやく哲夫に会えたものの、哲夫の顔にはひどい火傷の痕があった。
 哲夫の全てを愛していると婚約したものの、夢子は哲夫の醜い容貌に耐えられない。
 そのことが原因で二人の間では諍いが続き、思い余った夢子は島に群生している地獄花をむしりながら、「何も見たくない」と叫ぶ。
 その地獄花は恐ろしい因縁の宿った花で、摘んだ者は皆、不幸に見舞われるのだった。
 その夜、地獄花の呪いにより夢子の両目に針が刺さり、夢子は再度失明。
 もう哲夫の醜い容貌を気にしなくていいと思ったのも束の間、夢子の心の中の哲夫の面影が醜い火傷の痕で侵食されていく…」

 川島のりかず版「春琴抄」…なのか…?(テキト〜言って申し訳ない。未読です。)
 川島のりかず先生が「愛」をテーマに取り組んだ作品なのでしょうが、その合間合間に挿入された残酷シーンがあまりにヘビ〜。
 両目に突き刺さる針、鎌による心臓摘出、チェーンソーによる首切断…個人的な推測ですが、この作品以降、残酷描写が占めるページの割合が増えていったようです。
 でも、そんな残酷描写よりも、むやみやたらに乱入しまくる妹の描写の方が遥かに狂暴。
 この妹が何故かちょっちゅう舌を長く伸ばして、唾液を滴らせながら、《れろれろ》しており、このマンガの主人公も、テーマの「愛」もすっかり霞んでしまってます。
 実際、読んだ後に印象に残っているのは《れろれろ》している妹だけなのではないのでしょうか? それ程、強烈です。
 この妹がいなければ、それなりに輪郭の整った、読み応えのあるマンガになったはずです。
 が、斯様な《れろれろ》が拝めるのは全世界を探しても、このマンガしかありません。
 それってメリットなのかデメリットなのか、さっぱりわからネェー!!

平成27年1月18・20日 ページ作成・執筆

ヒバリ・ヒット・コミックス・リストに戻る

メインページに戻る