司孝平「魔像・別冊 泥忍形」(190円)
「寛永元年(1624年)。
伊勢亀山十五万石、石川民部は、名古屋城の尾張大納言(尾州公)の命を狙っていた。
何故なら、尾州公には世継ぎがなく、尾州公が死ねば、おじの関係にある民部が後継者となるからであった。
石川民部は、家老の赤座主膳に忍者の心当たりがあるか問う。
赤座主膳が頭を悩ましていると、彼の娘、風江が心当たりがあると言う。
それは、下男の完兵ヱであった。
完兵ヱは元・甲賀忍者で、主膳と完兵ヱは密約を交わす。
尾州公暗殺には、完兵ヱの息子、千蔵と百蔵を使い、もしも、成功したなら、二人を武士に取り立てること。
そして、主膳の方は、風江は尾州公の子供を身籠っているため、甲賀の山奥に匿ってくれるよう頼む。
取引は成立し、風江は甲賀の完兵ヱの小屋に向かう。
千蔵・百蔵は彼女に一目惚れし、完兵ヱは、尾州公暗殺に成功したなら、彼女を嫁に迎えると約束する。
早速、兄弟は名古屋城に潜入するが、尾州公は柳生十兵ヱという剣士を迎えていた。
二人は十兵ヱに全く歯が立たず、兄の千蔵は殺される。
百蔵は甲賀に逃げ帰る途中、侍に襲われている男を助ける。
それは、風江の様子を見に来た赤座主膳で、石川民部からの刺客に瀕死の傷を負わされていた。
それを知り、風江は百蔵に、石川民部の首を求める。
板挟みになりながら、百蔵は亀山城に向かうと、石川民部は、尾州公に頼まれた柳生十兵ヱによって殺されていた。
彼は、民部の首を奪おうとするが、柳生十兵ヱが相手ではとても構わない。
そこで、急遽、名古屋城に向かい、尾州公の首をとる。
だが、柳生十兵ヱは二人いて、百蔵は戦いに敗れ、川に転落。
流れ着いた先で、風江に発見され、彼女の前で息を引き取る。
以来、風江姫は自室で密かに夜な夜な泥人形を作る。
風江の目的とは…?」
まあまあ面白いのですが、若干の説明不足が気になります。(風江が尾州公の大奥にいたことや柳生十兵ヱの目的等。)
あと、物語は寛永元年で始まりますが、ラストは寛永五年。
四年も経ってたら、風江は赤ちゃんを産んでると思いますが、何故かギリギリになるまで産みません。
まあ、作者のミスでしょうが…。
・備考
ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じあり。前後の遊び紙、恐らく欠損。1ページ目と最終ページに補強のテープ。pp5・6(冒頭ページ)、外れ。
2021年9月10・11日 ページ作成・執筆