本村三四子「霧の館」(220円/1965年5月2日完成)



「予備校生の西条英二は、家庭教師のアルバイトのため、「霧の館」に住み込むこととなる。
 「霧の館」は、人里離れた山奥に、霧に包まれて建っている西洋館であった。
 館の住人は以下の通り。
 館の主で、病に臥せる老人、朝霧六造。
 彼の弟で実業家の山中三造。
 姪で洋装店を経営している深山亜沙子。
 孫の圭子・優子姉妹。
 甥っ子で不良の浅海直治。
 外国人らしい、金髪のお手伝い、マリ。
 英二の相手は優子であったが、すぐに館内の人間関係が険悪なことに気付く。
 彼らは、それぞれ事情があり、朝霧六造の遺産を狙って、反目し合っていた。
 館のどこかに、遺産が隠されているはずなのだが、いまだ発見されていない。
 残るは、老人が鍵をかけて、立ち入り禁止にしている「思い出の部屋」だけであった。
 ある夜、山中三造が、壁伝いに、思い出の部屋に侵入しようとして転落死する。
 だが、英二は、悲鳴の後、慌てて部屋に戻るマリの姿を目撃しており、ただの事故ではないと考える。
 以来、彼がマリの動向を注視すると、彼女は毎晩、「思い出の部屋」を訪れていた。
 鍵穴から覗くと、彼女は、何かを見つめながら、涙を流している。
 彼は、事故の真相を確かめるべく、山中三造の死について推理を述べるのだが…。
 様々な思惑が渦巻く中、朝霧六造の死と共に、全ての謎が明らかとなる…」

 怪奇ものではなく、作者が言うには「推理マンガがかった少女マンガ」(p75)です。
 ストーリーは、遺産相続を巡る肉親同士のいがみ合いで、今となっては、他愛のないものですが、それなりに雰囲気を出しております。
 でも、まあ、正直なところ、味わい深い表紙(注1)に期待して読んだら、若干、期待外れな内容でありました。

・注1
 表紙のイラストに「TADAO」というサインがあります。
 絵師はどういう方なのでしょうか?

・備考
 ジャンク。

2020年1月10日 執筆・ページ作成

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