まつざきあけみ「花子さんがいる」(1994年5月8日第1刷発行)
収録作品
・「花子さんがいる」(1993年「増刊・学園恐怖伝説」)
「中学校1年A組の佐倉菜摘は勉強のできる優等生。
特に、英語が得意で、英語の園先生に可愛がられていた。
ある日の放課後、それをやっかんだ女生徒達は、菜摘を二階の女子トイレに閉じ込める。
そこの奥から二番目の個室は、トイレの花子さんが出ると噂されていた。
菜摘の助けを求める声を聞きつけ、一人の女子生徒がやって来る。
彼女は、1年E組の田中華子といい、二人はすっかり意気投合して、放課後、神社の裏で待ち合わせる。
しかし、華子と付き合い始めてから、園先生の彼女に対する態度がおかしく、彼女を避けるようになり…」
・「同窓会」(1991年「おまコミミステリー」Vol.3)
「中学三年の夏、奈緒は、同窓会のため、宝ノ木小学校を訪れる。
宝ノ木小学校は三年前、過疎化で廃校となり、以来、別れ別れになった級友達とは全く会っていなかった。
同窓会に集まったのは六人。
奈緒は以前のクラスメート達との再会を楽しみにいていたものの、三年の歳月が、彼らの心を荒ませていた。
唯一、スポーツマンだった圭だけは彼女と同じように同窓会を楽しみにしていたが、彼は怪我で足に障害を負っていた。
夕方のバスまで時間があり、雨が降り出したので、彼らは校舎の中に入る。
そこで、彼らは奇怪な体験を次々とする。
彼らは「学校の七不思議」ではないかと慄くのだが…」
・「真理ちゃんが今夜も窓をたたく」(1992年「おまコミミステリー」Vol.8)
「中学三年の小橋靖子は、憧れの町田と同じ修学旅行の班になって、ウキウキ。
だが、彼女には一つ、引っかかることがあった。
一月前から、誰かが窓の外を叩いているのである。
しかも、それは彼女にしか聞こえない。
ある時、彼女は、親友だった真理のことを思い出す。
真理は無二の親友であったが、中学に入ってすぐに病死する。
そして、彼女が亡くなる前に、靖子は、修学旅行には行かず、彼氏もつくらないと彼女に約束していた。
以来、前田に告白されても、靖子の心は晴れない。
彼女は、真理が約束を守るよう、付きまとっていると思い込むようになり…」
・「雨がこわい」(1992年「おまコミミステリー」Vol.13)
「中学生の深町美保は、雨を異常に怖がっていた。
雨を見ていると、それが段々赤く見え、次第に周囲も赤色に染まってしまう。
昔は、彼女は雨が好きで、それには洋子という叔母が関係していた。
美保の母親は、彼女が幼い頃から勉強にピアノとうるさく、かばってくれたのが洋子で、美保は洋子になついていた。
しかし、叔母の洋子は、美保が小学一年生の時、、ニューヨークに行ったきりで、時々、絵葉書が届くだけ。
それでも、叔母のことを思い、美保は頑張ってきたが、ある日、叔母はニューヨークにいないのではないかと疑惑を抱く。
また、クラスメート達に雨の降る中を引きずり出された際、彼女は、過去の記憶を取り戻す。
それは、母親が叔母を包丁で刺そうとしているところであった。
美保は母親が何かを知っていると考えるのだが…」
・「6月のレクイエム」(1992年「MB増刊・わたしは幽霊を見た!」)
「真弓は、ボーイフレンドの吉沢を見舞いに行った時、岡村という老婆に孫と間違われる。
老婆の孫、恵利は毎日、見舞いに来ていたのだが、半年前から急に来なくなったという。
翌日、また吉沢を見舞うと、老婆が発作を起こしたと耳にする。
真弓が、恵利のふりをして、老婆を励ますと、老婆は回復。
以来、真弓は、恵利として、老婆を毎日、見舞う。
ある日、彼女は病院前の道路で車に轢かれそうになる。
その時、彼女を助けたのが、恵利だったのだが…」
・「宮城野の萩」(1988年「ホラーハウス増刊 オルフェ」)
「武家を捨て、絵の道を志す青年。
彼は、ある茶屋で白狐を目にして、茶屋の夫婦からそれを買い取る。
その白狐は親狐を犬に殺されて以来、夫婦が大切に育てたのであった。
だが、青年がどのようなエサを与えても、狐は食べようとせず、寄せ衰えていく一方。
江戸中、探し回っても、狐用の薬はなく、肝心の茶屋の夫婦は店を他人に譲って、行方不明であった。
ある夜、狐の伯母を名乗る女性が青年の前に現れるのだが…。
白狐は助かるのであろうか…?
また、青年が毎夜、倉を訪れる理由とは…?」
2021年8月12・13日 ページ作成・執筆