まつざきあけみ「あの子がこわい」(1995年8月10日発行)

 収録作品

・「あの子がこわい」(1994年「増刊・学園恐怖伝説'94」掲載
「父親の仕事の都合で、ある中学校に転校した坂本真由。
 彼女が最初の友達に選んだのは、ドジでノロマで、幼稚園の頃から友達一人いない亜紀であった。
 そのためにクラスメート達からいじめを受けるが、真由の決意は揺るがない。
 だが、実施前のテスト用紙がカバンに入っていたり、クラスメートの万年筆が真由の筆箱に入っていたりとおかしなことばかり起こる。
 全ては亜紀の仕業で、全ては、亜紀が真由のことを思い、良かれと思ってやったことであった。
 真由のためなら命を賭けるとまで言い放つ亜紀の行動はますますエスカレートし、真由をいじめた相手に次々と報復していく。
 遂には、真由は亜紀と縁を切ることを決意するのだが…」

・「デビル・ゾーン」(「LCミステリー'94年2月号」掲載)
「不良達が幅をきかす区立葵中学校。
 先生達でさえ手も出せずにいたが、榊原勇一という生徒が転校してきてから、流れが変わる。
 気は優しくて、力持ちの彼に諭され、不良達は勢いを失い、彼が生徒会長になってからは、学校は見違えったように明るくなる。
 だが、不良の中で最も危険な瀬川を敵に回したのが災いし、榊原勇一はバイカー集団に暴行を加えられ、意識不明の重体となる。
 それども、学校のことを心配する彼の潜在意識は…」

・「デビル・ルーレット」(「LCミステリー'94年3月号」掲載)
「いじめられっ子で、泣きべその女子高生、神谷。
 いじめっ子の荒川や大貫、才能・美貌ともに恵まれた宮崎、意地の悪い大久保教諭…彼女の味方は全くいない。
 絶望した彼女は、自殺するための農薬を探しに、田舎を訪れる。
 ふとしたことから、彼女は栄養ドリンクの瓶に入った農薬を入手し、それを「おまもり」として身に付ける。
 以来、どんな意地悪をされようと、相手に農薬を飲ますことを空想したら、気分はハイ。
 だが、実際に相手に飲ますことを考え出すと…」

・「魔犬(デビル・ドッグ)」(「LCミステリー'94年8月号」掲載)
「水谷家は動物が大好きで、様々な動物を飼っていた。
 ある日、六年前、引っ越しの際に捨てた犬のゲンが家族のもとに帰ってくる。
 六本木から東京まで飼い主を捜して、旅をしたことはニュースにまでなるが、ゲンはその間、肉食の習慣を身に付けていた。
 ドッグフードには見向きもせず、家の小動物を次々と食い殺していき、遂には、同族の犬までも餌食にする。
 家族はゲンを山奥に捨てに行くが、ニュースで有名になっているために、それも叶わない。
 そのうちに、犬に人が食い殺される事件が毎晩、起こるようになる…」

 ストーリーだけ読めば、かなりドロドロした内容のように感じると思いますが、心にじんわり染み入る作品が多いです。(特に「魔犬」は悲しい…。)
 大ベテランらしく、ストーリーも構成もきっちりしていて、読み応えはかなりあります。
 個人的には、まつざき先生の華麗な絵柄に、強烈なスプラッター描写が捩じ込まれる「デビル・ゾーン」がお気に入りです。
 最初、目にした時には、まつざきあけみ先生のマンガでまさか…と目が点になりました。

・備考
 一部、シミあり。pp162・163、割れ気味。

2018年7月6日 ページ作成・執筆
2018年11月16日 執筆

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