いしかわまみ「前世治療室へようこそ」(1999年12月8日第1刷発行)
「魔女っこハウス」は横浜の丘の上にある、おまじないグッズのお店。
店主は長髪の青年、朔也と黒猫のヒュー・レリウス(その正体は、数百年もの間、生き続ける魔法使い)。
この店のおまじないグッズは効果があるとお客さんには大好評。
ただ、中にはグッズが効かない客がおり、そういう客には朔也のアフターサービスがあった…。
・「前世治療室へようこそ」(1998年1月増刊号「恐怖まんが666」)
「高校一年生の工藤さゆみは憧れの坂上先輩に告白し、OKをもらう。
なのに、彼は他の女とも付き合い、しゅっちゅう彼女との約束をすっぽかす。
彼女は「魔女っこハウス」で「彼とうまくいく石」を買うと、どうにか彼とのデートにこぎ着ける。
しかし、彼は酒に酔った挙句、彼女をホテルに連れ込もうとし、彼女は彼を突き飛ばして逃げる。
夜道でさゆみがどうしたらよかったのか悩んでいると、朔也が彼女に声をかける。
彼はさゆみが坂上先輩とうまくいかないのにはわけがあると話し、彼女に自分の前世を思い出させる。
前世でのさゆみと坂上先輩の関係は…?」
・「追憶の影」(1998年5月増刊号「恐怖まんが666」)
「あおいは母親に激しく反発していた。
彼女は幼い時、母親にあまり構ってもらえず、それをずっと根に持ち続ける。
ある日突然、彼女は黒い幽霊に付きまとわれるようになる。
幽霊は焦げ臭い臭いを発し、あおいを「あやこ」と呼んでいた。
あおいは魔女っこハウスに行き、「邪気を吸収して除霊する」アクセサリーを購入する。
しかし、その夜、現れた幽霊には全く聞かず、あおいは早朝、魔女っこハウスに抗議に訪れる。
あやこと呼ぶ幽霊が誰か突き止めるため、朔也があおいに前世を思い出させると…」
・「ふたつの魂」(1998年9月増刊号「恐怖まんが666」)
「琴美と琴奈は一卵性双生児。
二人は性格は正反対で、いつも俯いているのが姉の琴美ではっきりしているのが妹の琴奈であった。
琴美は強度の視線恐怖症で、いつも言いたいことが言えず、妹の半分ぐらいは強くなりたいと願う。
ある日、彼女は意を決して魔女っこハウスを訪れるが、他の客の視線に耐えられず失神。
朔也は、彼女が視線を怖れる理由を明らかにするために、琴美の魂に刻まれた記憶を思い出させる…」
・「魂のゆくえ」(1999年1月増刊号「恐怖まんが666」)
「魔女っこハウスの真のオーナー、黒猫のヒュー・レリウス。
彼は三原恵という女子高生に餌をよくもらっていたが、彼女はひどいいじめを受けていた。
ヒューは彼女が店のグッズをたくさん持っているのに、効果がないことを訝る。
また、このグッズを買いに来ているのは彼女の母親であった。
死を望む恵にヒューは夜の七時に魔女っこハウスに来るよう暗示をかける。
彼女の自己否定の原因となる前世の出来事とは…?」
・「逃亡者」(1999年6月増刊号「恐怖まんが666」)
「美也は自分の前世の夢を毎夜、見るようになる。
彼女は前世では勇敢で、皆に敬愛された王子であったが、敵の追手に背中を矢で射られ死んでいた。
そして、夢を見始めた頃から、矢の刺さったところがひどく痛み、彼女を苦しめる。
彼女は前世の仲間と会わなくてはならないと思い、魔女っこハウスで朔也からあるキーホルダーを勧められる。
大事な人に会えるようこれに願うよう言われるが、彼女は最も会いたくない木戸亜沙子に会ってしまう。
しかも、亜沙子と会うたびに背中の痛みがひどくなり、美也は亜沙子が前世で自分の敵だったと考える。
美也はもう一度、魔女っこハウスを訪れるが、朔也は彼女の主張する前世に違和感を感じ…」
・「猫と女の子」(1999年9月増刊号「恐怖まんが666」)
「黒猫のヒュー・レリウスは小さな女の子の幽霊に捕まってしまう。
女の子は「ななちゃん」と自分を呼び、家に帰りたがっているが、住所はわからず、また、すぐ他のものに気を取られて、ヒューは振り回されてばかり。
ヒューは女の子に自分が死んでいることに気付くよう言うが、彼女は死ぬということが理解できておらず、話が進まない。
彼女の家は日本家屋で、母親・姉・兄がいるようなのだが、彼女の正体は…?」
前世療法をテーマにした連作集です。
「前世療法でお悩み解決」というパターンではありますが、ストーリーはバラエティに富み、いろいろと考えさせるエピソードもあります。
また、結末はハート・ウォーミングで、読後、温かい気持ちになれますので、そこもポイント高めです。
個人的ベストはいじめ問題を扱った「魂のゆくえ」。母親の愛を知った少女の怒りが胸を打ちます。
また、同じくヒュー・レリウスの活躍する「猫と女の子」も、子供のきまぐれな描写が冴えて、なかなか面白いです。
2025年12月24日 ページ作成・執筆