きもとのりこ「先生はゾンビ」(1992年9月8日第1刷発行)
私立血祭女子高等学校。
そこの体育教師の田中はゾンビであった。
彼は二年前、体育の授業中に死んでしまうが、バレーボールへの愛情と教育への熱意によって生き返ったのである。
一応、生気を補充すれば人間の身体を維持できるが、エネルギーが切れると、腐乱死体に逆戻り。
それにも関わらず、一年生の渡瀬マリナ(16歳)は彼に恋心を抱くのだが…。
・「ACT.1 田中先生の秘密の巻」(1989年「おまコミホラー」増刊号)
「マリナは体育教師の田中に想いを寄せていた。
だが、友人の坂田都(とても怖がり。「なかよし」時代の楳図かずお作品のヒロインの顔をしている)と黒鳥霊子(霊能少女)に止められる。
彼女たちは田中に異様なものを感じていた。
更衣室でその話をしている時、田中がそこにやって来る。
黒鳥霊子は田中に聖水を振りかけるのだが…。
田中先生の正体は…?」
・「ACT.2 楽腐音佐世江現るの巻」(1990年「おまコミホラー」増刊号)
「このところ、学校に女子生徒の幽霊が現れるという噂が流れ、生徒たちはパニック状態であった。
黒鳥が田中先生に幽霊のことを聞いてみると、そこに当の幽霊が現れる。
この幽霊は田中の教え子だった楽腐音佐世江(らっぷおん・させえ)だというのだが…」
・「ACT.3 うれしはずかし聖(?)教育の巻」(1991年「おまじないコミック」1月号)
「今日の体育は保健体育で教室で座学のはずが、田中はすっかり忘れてバレーに熱中していた。
とりあえず、教室に戻ることになるが、更衣室でマリナは妄想が暴走。
彼女は田中と個人授業を望むのだが…」
・「ACT.4 呪われたバレンタインデイの巻」(1991年「おまじないコミック」2月号)
「バレンタインデー。
マリナは先生と生徒との壁を打ち破るべく、学校に田中への手作りチョコを持ってくる。
だが、彼女の前に楽腐音佐世江が立ちふさがり、どちらが田中のハートを射止めるのか勝負するのだが…」
・「ACT.5 テスト勉強のススメの巻」(1991年「おまじないコミック」3月号)
「マリナは勉強が大嫌いで、授業中は寝てばかり。(そんな奴が高校行くなよ。)
そのため、テストはボロボロで、次のテストで全科目50点以上取らなければ留年してしまう。
都と黒鳥はマリナに勉強を教えてくれるが、気が付けば、彼女は勉強から逃げている。
試験は目前で、マリナは絶望して教室から走り去るのだが…」
・「ACT.6 俺たちは眠らないの巻」(1991年「おまじないコミック」4月号)
「マリナは無事、二年に進級でき、入学式の日を迎える。
春は田中にとって思い入れのある季節で、4月14日は田中の三年目の命日であった。
マリナは田中のゾンビ生活三周年を記念して、盛大にパーティをすることを提案。
その日、マリナたちは田中の家を訪れるのだが…」
・「ACT.7 殺意のタワシの巻」
「ある日、黒鳥霊子は駅のホームで人身事故に遭遇する。
すると、彼女のそばに死んだ当人の霊がいた。
死んだのは池田いけ美という娘で、彼女は背後から何者かに線路へ突き落とされたという。
そして、現場には犯人のものと思われるタワシが落ちていた。
いけ美は犯人を察し、葬式の時に犯人を暴こうとする…」
・「ACT.8 振り向けば笛吹き太郎の巻」
「白い仮面に頬かむりをして、リコーダーで『アマリリス』を吹く笛吹き太郎(仮名)。
彼はここ一月、校門の前に来るが、何者なのか、そして、何が目的なのか全くわからない。
皆でその正体についてダべっていると、大山という女子生徒が笛吹き太郎にストーキングされていると訴える。
田中は笛吹き太郎の正体を突き止めようとするのだが…」
・「ACT.9 血ぬられたリゾートラバーズの巻」
「夏休み。
マリナ、黒鳥、都の三人は高原旅行をする。
黒鳥は三人が泊まるペンションに物凄い霊気を感じるが、オーナーの小板橋という青年に一目ぼれ。
しかし、彼は他の宿泊客の娘たちにもモテモテで、黒鳥は嫉妬の炎を燃やす。
彼女は内心を隠すものの、小板橋の一挙手一投足に動揺しまくり。
夜も眠られず、ジュースを買いに出た時、彼女は彼と会う。
彼は彼女のことが気になっていたと話すのだが、その意味とは…?」
・「ACT.10 恐怖の館へようこその巻」
「夏休みの宿題をするため、マリナと都は黒鳥霊子の家を訪れる。
そこは雰囲気のある洋館で、両親は霊能力者、兄のイワオは心霊マニア(霊能力はなし)。
そして、彼女の家の地下には拷問部屋があるというのだが…」
・「ACT.11 田中先生、友と再会すの巻」
「現国の先生が入院し、守谷という男性が臨時教師としてやって来る。
彼は田中の親友かつ元・同僚で、田中が生きていることを知り、パニックを起こす。
とりあえず、落ち着いたところで、守谷は田中に何故、生き返った後、自分たちのところに戻ってこなかったのかと責める。
田中が「死体のまま生き返ってしまったから」とゾンビ化した状態で答えると…」
・「ACT.12 恐怖の館へようこその巻」
「クリスマス。
マリナが田中にクリスマス・プレゼントを渡すと、守谷が二人に映画のチケットを二枚くれる。
放課後、二人は映画を観に行くが、実はこれは守谷の企みで、デートの様子を覗き見するつもりであった。
黒鳥、都も巻き込み、守谷たち三人はマリナと田中の様子を見守る。
一方、マリナと田中のもらった映画のチケットは「超マイナーの超B級ホラー」で…」
(ACT.7〜12/1991〜1992年「おまコミミステリー」Vol.1〜6)
粗筋を読めば、まあまあ見当がつくように、非常にユル〜い「スプラッターギャグ」漫画です。
基本、この手の安直なギャグ漫画は手を出さないのですが、このユルさが妙にツボにはまってしまい、紹介しちゃいました。
しょ〜もなくても、細かいところにまでギャグを入れていて、好感が持てます。
やはり、サービス精神(悪ノリ?)の溢れた作品ってステキです。
・備考
背表紙色褪せ。
2025年1月4・5日 ページ作成・執筆