関よしみ「呪われた遊園地」(1999年8月1日発行)

 収録作品

「呪われた遊園地」
・「恐怖の限界点@ 観覧車は止まらない」(「ザ・ホラー 1998年8月号」初出)
「男女三人ずつで遊園地に遊びに来た高校生達。
 これを機にもっと親密になろうと考えている中、千里は一人、どの乗り物にも乗りたくないと足を引っ張る。
 極度の怖がりの千里は、絶叫マシーンは当然ダメ、お化け屋敷もダメ、コーヒーカップやメリーゴーランドといった乗り物もダメというダメダメ尽くし。
 皆、あきれながらも、どうにか説得して、観覧車に乗りこませる。
 しかし、閉所でパニックを起こした千里は観覧車から飛び出し、転落。
 次の瞬間、千里に導かれ、五人はいつの間にか立体迷路に入り込んでいた。
「ブレイン・ラビリンス」という立体迷路で、彼らが見たものは…」
 ゴキブリがダメな人は読まない方がいいですね。
 あと、関よしみ先生の「鶏」恐怖症も大々的にフューチャーされております。
「鶏」恐怖症を克服するためにも、関よしみ先生には、元祖「チキン・ジョージ」(?)な「Blood Freak」(米/1972年/Brad F.Grinter監督)を是非とも観ていただきたいものです。
 あまりにク○過ぎて、国内でソフト化されることはないでしょうが…。

・「恐怖の限界点A わがままなバンジー娘」(「ザ・ホラー 1998年12月号」初出)
「退屈を嫌悪し、目先のスリルばかりを追い求める薫と、それに引っ張りまわされる茂のカップル。
 薫のスリルを求める要望は尋常でなく、茂は耐えがたい思いをしながらも、惚れた弱みで、付き合わざるを得ない。
 限界に近い茂に、遂には、バンジージャンプをしようと薫は言い出して…」
 クラッシュした顔の描写の生々しさから、関よしみ先生の本気がガンガン伝わってきます。(何を参考にしたんでしょうか…?)
 読んで、内容は忘れても、これだけは(良くも悪くも)記憶に刻まれるでありましょう。

・「恐怖の臨界点B 親子のシステム・トラブル」(「ザ・ホラー 1999年2月号」初出)
「遊園地のシステムを担当する中年の男性。
 彼は、監視カメラで、離婚した妻が連れて行った娘を目にする。
 しかし、娘は、妻や新しい夫からは明らかにネグレクトされていた。
 男性は放ったらかしにされている娘のもとに行き、遊園地のアトラクションを巡るが、娘は表情を欠いたままであった。
 おかしいと思った男性は、あることに気付く…」
 雑誌「ホラーM8月8日増刊号 ホラーS」(ぶんか社/1997年8月8日発行)に収録されている「残酷カラー特集 スプラッター・バケーション」。
 関よしみ先生は「スプラッター・バケーション at 遊園地」を描いておられます。
 もしかして、その発展形とか…。(テキト〜言ってます。)

「ドームズディ 判決の日」('97「ミステリーDX8月20日増刊号 ザ・ホラー」初出)
「人口増加を続ける人類。
 過密状態によるストレスに苦しむ人々の頭に囁きかける「殺セ」の声。
「殺セ」「殺セ」「殺セ」「殺セ」「殺セ」……」
 曽祢まさこ先生の「殺す月」でも同じ感想を書きましたが、50ページぐらいじゃ物足りません。
「Dooms Day」を謳うからには、まるまる単行本を一冊費やして、「スーパージャンク/世界大終末」(注1)を展開して欲しかったものです。
 それにしても、思うことは、永井豪先生の今や古典「ススムちゃん大ショック」(1971年/「少年マガジン」10号)の影響力の大きさ。
 この作品にも潜在的な影響を窺うことができるとは思うのですが、そこは関よしみ先生、ちゃんと自分の作品にしております。

 関よしみ先生の単行本の中では最もレアな単行本と言われ、古書価格が数千円するプレミアものです。
 私は出版や古書で食べていっているわけではないので、事情はよくわからないのですが、要は発行冊数が少なかったということでしょうか?
 まあ、角川書店が1997年頃〜2000年頃に出していたらしい「ザ・ホラー」という雑誌自体がどうやらマイナーだったようです。(詳しいことはディープな方にお任せいたします。)
 もしかしたら、電子コミックで読めるようになっているかもしれませんので、興味のある方はそちらを読まれたら、いいと思います。

・注1
「別冊映画秘宝 80年代悪趣味ビデオ学入門!」(洋泉社/2013年3月4日発行)のpp172・173を参考にさせていただきました。

2016年1月4日 ページ作成・執筆

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