犬木加奈子「霊と遊ぶな子供たち!!」(1998年8月1日初版発行)

 収録作品

・「うしろ神」('94年1月「ネムキ」Vol.17掲載)
「ちまきは幼い頃から非常に身体が弱く、何度も生死をさまよう。
 だが、彼女には、他の人には見えない何者かの姿を見ることが出来た。
 その何者かが身近な人間のそばに控えていると、その人間は死に、ちまきは回復する。
 長ずるにつれ、彼女はそれが俗に言う「死神」だと気づく。
 死の影に怯えながら、ちまきは中学生になる。
 そこで、姉、サツキの友人の丹吾にほのかな恋心を抱くのだが…」

・「サイコ・ボックス」('95年5月「ネムキ」Vol.19掲載)
「丸い穴のあいた箱を持って、道端でずっと立ち続けている老婆。
 誰も気にかけずに通り過ぎる中、一人の女子学生が老婆に興味を抱く。
 彼女は老婆を物乞いと思い、幾度か小銭を箱の中に入れる。
 そういうことが何度も繰り返されるが、ある時、老婆が自分は物乞いでないと話しかけてくる。
 そして、この箱にものを入れても無駄と付け加える。
 一度は立腹して、その場を立ち去るが、考え直し、老婆のもとに戻って、事情を聞くことにする。
 すると、老婆はしばらくの間、この箱を持っていてくれたら教えると、彼女に箱を手渡す。
 また、箱の中を絶対に覗かないよう念を押し、その場から立ち去る。
 彼女が扱った箱は見かけのわりに意外と重く、また、老婆は戻って来ない。
 一時間も経ち、彼女は箱の中を確かめてから、箱を置いて、帰ろうと決めるのだが…」

・「霊と遊ぶな子供たち!!」('92「あなたの恐怖体験」)
「犬木加奈子先生自身が、幼少期、学生時代、そして、漫画家になってから体験された怪奇譚を描いたもの。」

・「暗闇の女たち」('90「ナイトメア」)
「1号室 料理好きの女」
 まめで、料理が得意だが、地味で、面白味のない女性。
 夫は外に女を作っているようだが、それでも、彼女は夫のために、手の込んだ家庭料理を作り続ける。
 そんな彼女は、友人に頼んで、田舎から定期的に届けてもらう「もの」があった…。
「2号室 ゴミ置き場の女たち」
 団地のゴミ置き場は主婦達にとって恰好の井戸端会議所。
 ある日、ゴミの収集日でもないのに、捨ててあるゴミがあった。
 来週、ゴミ当番の主婦がそれを預かり、持ち主を特定するために、ゴミ袋の中身を検める(あらた・める)。
 ゴミからは、自分の家庭よりもいい暮しが想像され、主婦は嫉妬に狂うのだが…。
「3号室 117の女」
 愛人であることがばれないようマンション住まいをする三井ミサ子。
 独り淋しい夜には、電話で時報を聞いて、寂しさを紛らわす。
 だが、どうも隣部屋に住んでいる女性の様子がおかしい。
 ミサ子は管理人に相談するのだが…。

・「ゴキブリの家」('90「ミステリーラビアン」)
「美しく着飾り、売れっ子ピアノ教師として活躍する、いわばカリスマ主婦の香山ユリ子。
 夫はK商事のエリートで、他の主婦の羨望の的であった。
 だが、実際は、夫はエリートコースから転落組で、彼女はうわべばかり飾るのに精いっぱい。
 それを端的に表すのが、ゴミだらけの台所であった。
 そこからはユリ子の大嫌いなゴキブリがいくらでもわき出てくる…」

・「悪夢の扉」('89「別冊フレンド」)
「ひとつめの扉 夢みる少女」
 退屈な日常に飽き飽きしている少女。
 彼女は刺激を求め、どんな夢でも現実になればいいと願う。
 その願い通り、彼女は望む通りの夢を見ることができるようになるが…。
「ふたつめの扉 かえるの王子」
 外見と内面、両方の美しさを備えていると思い込んでいる少女。
 彼女は何者かに付きまとわれていた。
 ある時、それはハンサムかつ性格良好、しかも、大会社の息子という少年であることが判明する。
 少女は彼と会うが、彼の顔はカエルのようにイボでいっぱいであった。
 尻込みする少女に、彼は「カエル王子」の話をする…。

・「怪談百物語」('95年5月「恐怖体験」Vol.5)
「@お化け屋敷 A白い手 B高速道路の男
 犬木加奈子先生御本人やご友人達の恐怖体験を漫画化したもの」

 「サソリお姉さま」(朝日ソノラマ)と「ゴキブリの家」(ぶんか社)に収録された作品を再編集した単行本と言っていいと思います。
 「怪談百物語」のみ新しく収録された模様です。
 「怪談百物語」の「お化け屋敷」の話、犬木先生、すみません、笑っちゃいました。

2017年9月17日 ページ作成・執筆

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