御茶漬海苔「鏡の国のキュルキュル」(1998年8月1日発行)

 収録作品

・「悪夢の遊園地」(「ザ・ホラー 1997年8月20日号」)
「石本京子と山峰理佐は、はずみではあったが、いじめっ子の白川黒美を金庫に閉じ込め、沼に沈めてしまう。
 それは明らかにはならなかったものの、以来、一年もの間、心休まる時がない。
 ある日、谷青美という女生徒が二人を「ナイトメア遊園地」に誘う。
 三人が遊園地を訪れると、まず「占いの館」に案内される。
 そこではコンピューターが占うのだが、質問事項に京子がわざと違うものを入力してもすぐにエラーが出る。
 それどころか、人を殺したことがあるか?という設問があり、京子と理佐は気が気でない。
 入力を終えた三人は「ナイトメアジェットコースター」に乗るよう促される。
 これで「未来と過去の世界」に行けるというのだが、彼女達はそこで何を見るのであろうか…?」

・「鏡の国のキュルキュル」(「ザ・ホラー 1998年4月20日号」)
「妻を亡くした痛手から立ち直るため、画家の父親と遠子は、海を臨む、岸壁の家に移る。
 遠子の部屋には、鏡の付いたクローゼットがあるが、鍵がかかって、開かない。
 しかし、居間から部屋に戻ると、クローゼットの中に動物が入ったような足跡がついていた。
 遠子が鍵を探すと、クローゼットの下の隙間に鍵が見つかる。
 クローゼットの中には、鏡が幾つも壁に据えられた部屋があった。
 遠子が壁に書かれた「キュルキュルリンパ」という言葉を口に出すと、鏡の中から、頭に翼の生えた犬のような生物が現れる。
 彼女はその生き物に「キュルキュル」と名付け、その夜、母親のことを思いながら、眠りに就く。
 翌朝、彼女のベッドに巨大な繭のようなものがあり、台所には死んだはずの母親の姿があった。
 母親は姿形だけは母親にそっくりであったが…」

・「暗黒辞典 白子ちゃん」(「ホラーM 1996年7月号」)
「泉川中学校に昔から伝わる「白子ちゃん」の噂。
 夜中の12時に現れ、何でも願いを叶えてくれるらしい。
 夏美、秋絵、冬子の三人は「白子ちゃん」を捕まえようと、夜の学校に集まる。
 廊下にワイヤーを張り、待っていると、車輪を回しながら現れた白子ちゃんの首をワイヤーが切断。
 白子ちゃんの生首は三人に呪詛を投げかけ、生首は秋絵の指を三本噛みちぎる。
 また、首なしの胴体は夏美を扼殺。
 秋絵と冬子は、白子ちゃんを包丁でめった刺しにして、学校裏の沼にその死体を沈める。
 二人は帰宅するが、白子ちゃんの呪いはまだ終わっていなかった…」

 「悪夢の遊園地」と「鏡の国のキュルキュル」は、70ページ程度の中編ですが、オチが弱い印象を受けました。
 御茶漬海苔先生の作品は、20〜30ページ程度の短編が、切れ味鋭くて、最も魅力的だと私は思います。

2019年8月28・29日 ページ作成・執筆

角川書店・リストに戻る

メインページに戻る