犬木加奈子「新・不思議のたたりちゃんA」(2000年7月1日初版発行)

 収録作品

・「新・不思議のたたりちゃん」(「ザ・ホラー」1999年10月号、2000年4月〜6月号)
「9月2日(木) 委員長の誇りは塵ホコリン」
 雲野ツキ子は、皆におだてられ、学級委員長になる。
 委員長のバッチを胸に付けた彼女はプライドをくすぐられ、大張り切り。
 だが、多々里に関することで、先生に怒られたツキ子は、ひそかに多々里を敵視する。
 ツキ子は多々里をクラスの一員として迎え入れようと言うが、彼女には「スキ魔妖怪・塵ホコリン」が憑りついていた…。
「4月4日(火) 心のかしかりん!」
 星ガリ子(注1)は、人から物を気軽に借りては、ちっとも返さない、無神経娘。
 部屋は人から借りたものが散らかり放題で、部屋を整理しようなんて全く考えない、物ぐさ娘でもあった。
 ある日、ガリ子は多々里の漫画本(「不思議のノロイくん」)を強引に借りてしまう。
 だが、その本の間で、乃呂井翔が居眠りしていた。
 多々里はガリ子に漫画本を返すよう、何度もお願いするが、全く糠に釘。
 目鏡で見ると、ガリ子には「スキ魔妖怪」が憑りついてはいるが、乃呂井がおらず、どう対応したらよいかがわからない。
 一方、ガリ子の部屋で、乃呂井翔はペットの飼い猫の襲撃をひたすら耐えていた…。
「5月8日(月) 八方美人」
 大黒豆子は笑顔を絶やさない、物静かな少女。
 その笑顔一つでどんなグループとも交わり、クラスの人気者であったが、最近、多々里と共にいることが多い。
 不思議に思った多々里が豆子に思い切って理由を尋ねると、同じ「いじめられっ子」だからと言葉少なめに答える。
 多々里は、大人しい豆子に向かって放たれる、クラスメート達の攻撃的な言葉が、彼女をどんどん委縮させることを知るのだが…。
「5月16日(火) 意地面」
 多々里のクラスで風邪が流行。
 あと一人で学級閉鎖というので、クラスメート達は多々里に目を付ける。
 クラスメート達は多々里に風邪をひくよう強要するが、多少体調を崩しても、多々里は登校。
 激昂したクラスメート達は多々里をプールに投げ込むが、彼らには「スキ魔妖怪・意地面」が憑りついていた…。
「6月8日(木) カサカサ誕生秘話」
 多々里の愛用の傘は祖父母からのプレゼント。
 しかし、ガサツな小森によって、大穴を開けられてしまう。
 それでも、つぎはぎを当て、使っていたが、小森はそれを当てつけと捉え、多々里の傘を何度も破る。
 大切な傘を何度も破られ、多々里は、傘に目があれば、逃げられると考える。
 多々里の取った行動とは…。
「6月14日(水) 裏山しいたけ」
 梅雨。鬱陶しい季節。
 平凡な少女、日影は、この頃、皆が羨ましく、また、光り輝いているように見え、近づきがたく感じる。
 陰気な多々里に彼女は接近するが、ほっとするのも束の間、多々里の芯の強さに嫉妬を覚え、遂にクラスで孤立。
 多々里が目鏡で日影を見ると、彼女は「スキ魔妖怪・裏山しいたけ」に憑りつかれていた…。
「6月20日(火) いじめじめじめ」
 食べ残したパンを机の奥でカビカビにしてしまった少女達。
 パンを捨てようとする少女達に、多々里は童話の「パンを踏んだ娘」(トラウマ童話の名作!!)を引き合いに出して、注意する。
 だが、あっさり逆襲され、カビカビのパンをムリヤリ食べさせられる。
 放課後、多々里が下校していると、先刻の少女達が立ち塞がる。
 少女達は、給食で残したパンを水たまりに投げ込み、多々里に踏んで歩くよう言うのだが…。
「7月2日(日) てれてる坊主」
 長々と続く梅雨。
 皆の心に巣食う、カビのようなスキ魔妖怪を一掃するには「てれてる坊主」を作るよう、乃呂井から教えられる。
 多々里は早速、ハイホーサイホーセットで「てれてる坊主」を縫って、これを教室の窓の軒下に吊るす。
 その翌日、多々里のクラスに、大空てるおという少年が転入してくる。
 てるおは、非常に大人しく、抵抗もしないため、クラスのいじめの格好の標的となる。
 多々里はそんなてるおを見かねて、手を差し伸べようとするが、てるおは多々里を拒絶。
 それでも、多々里はてるおに対する気配りを続け、二人の間にささやかな友情が芽生える時が訪れるのだが…。

・「呪いの乃呂井くん」(2000年「ザ・ホラー」2月号)
 幼少の頃から、乃呂井翔は自信の塊。
 成長するにつけ、自信は更に肥大していくが、身体は貧弱なままで、他の子供達に散々いじめられる。
 すっかり委縮してしまう乃呂井翔であったが、呪術の本を入手したことにより自信回復。
 早速、自分をいじめた連中に呪いをかけて、復讐を楽しむが、実際のところは…」

 「新・不思議のたたりちゃん」ですが、恐らく、「ザ・ホラー」廃刊により、打ち切りになった模様です。
 単行本未収録の作品があるかもしれませんが、私、雑誌のチェックまで手が回っておりませんので、わかりません。
 電子書籍も未チェックで、すんません…。

・注1
 父親の名前は「星飛馬」です。(p52上の表札より)
 もしかして、目に炎を燃やしていた、熱血な、あの人?!
 ちなみに、母親は「星ぴかり」です。

2018年1月3日 ページ作成・執筆

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