西たけろう「3才の花嫁」(220円)
「一条宏と黛未知は、互いに深く愛し合っていたが、周囲の反対もあり、別れを決意する。
宏は研究のためにドイツに飛び立ち、未知は滝野という男性と結婚する。
しかし、それは全て前もって決まっていたことだと未知の祖母は言う。
未知の祖母は、未来を見通す能力があり、何でもぴたりと当てるのであった。
結婚式当日、祖母は心臓発作で急死するが、未知と宏を会わせないよう最後に言い残す。
五年後、ドイツから宏が帰国するが、「ストロキンナトリュウム」の発見者として名を上げていた。
世紀の発見らしいが、その実体については宏は決して報道陣に明かそうとはしない。
また、未知の方は、三才の女児、杏子の母親となり、幸せな家庭を築いていた。
ある日、未知の一家が公園に遊びに行った時、未知の母親が交通事故に遭う。
その車に乗っていたのが、宏であった。
母親の怪我は大したことなく、病院から未知が帰ってくると、夫の滝野が首に包丁を突き立て、死んでいた。
その横で泣きわめく杏子。
警察は現場を調べるが、指紋は全て拭き取られ、証拠となるものが出てこない。
また、部屋には何故か「ストロキンナトリュウム」の瓶があった。
どうやら事故のどさくさで、杏子が持ってきてしまったらしい。
捜査は難航したまま、一週間が過ぎ、再び殺人事件が起きる…」
なかなか面白いです。
貸本怪奇マンガ・マニア(このような方々が世間にどれだけ存在しているのか、よくわかりませんが…)には「頭でっかち赤ちゃん」で有名です。
相変わらず、絵は荒いものの、ストーリーにはかなり力を入れております。(注1)
細かいところを突くと、よくわからないところが幾つもありますが、スピーディーな展開で、一気に読ませます。
貸本マンガというジャンルでは、良作なんじゃないんでしょうか。
・注1
本編後の作者のページにて、作者の「画風が荒く感じて来」たので、「良い作品を描く為ならば」「作品数は少なくていい」と訴える、読者のお便りを紹介しております。
西先生もこのあたりのことは重々承知していたのでありましょう。
「期待にこたえるべくがんばりたい」と返答しておりますが、本音としては「でも、やっぱり生活が…」ではなかったのでしょうか。
・備考
状態悪し。カバー欠。糸綴じあり。本体をビニールコーディング。見開き、巻末、小口に「名古屋マンガ図書館」のスタンプあり。読み癖あり。シミ、切れ多数。p50、落書きあり。(鼻から鼻毛とか…)pp102〜136にかけて、上部に大きなシミ痕あり。
平成27年10月28日 ページ作成・執筆