西たけろう「天使には首がない」(220円)
「複式教室(特別教室みたいなもの?)の北河ジローは、他者とのコミュニケーションは苦手だが、大人しい子。
そんな彼が、何故か、美術教室に対する悪戯を繰り返す。
美術の先生は、ジローが美術部に入りたいのではないかと考え、彼を美術部に入れる。
先生の考え通りで、ジローは毎日、熱心に絵を描く。
彼の描く絵はいつも決まって、赤色のバックに、美しい女性の頭部だけが描かれた絵であった。
同じ絵を何枚も何枚絵を描くうちに、胴体も描くようになるが、頭部と肩の間の首だけが描かれていない。
また、同じ絵を毎日描き続けるが、しばらくすると変化が現れる。
絵の中に、女性と共に、後ろ向きの男性の姿が描かれるようになった。
美術の先生は、ジローが何かの記憶を取り戻そうとしているのではないかと考える。
そして、絵は過去にあった未解決の犯罪を明るみに出すのであった…」
当時としてはかなり斬新な内容であり、完成度もそれなりに高いと思うのですが、ジローが何故過去の犯罪を知っていたかという説明がちょっと…いや、かなり苦しいかも。
また、「世にも不思議な物語」も12集になり、息切れしていたのか、絵がかなり雑なところも残念。
それでも、西先生のポテンシャルの高さは伝わってきます。
当時、ここまで「尖がった」作品を描かれた漫画家さんは、ほとんどいなかったと思います。(いたら、ごめんなさい。)
ご本人が生きておられる間に、再評価すべきではないでしょうか?
・備考
カバーを紙にて補強。綴じ穴あり。綴じ穴のある見返しの部分、紙による補強あり(実際は何なのか、いまいちわからず)。小口の下部にゾッキ線あり。
平成27年10月19日 ページ作成・執筆