杉戸光史「不死蝶の滝」(220円/1966年7月10日完成)
「平山利夫は名門平山家の18代当主で、T大の学生。
平山家には代々守り刀の正舟が受け継がれており、これは平山家に危機が迫ると鳴り出す、不思議な刀であった。
言い伝えによると、平山家の先祖がこの刀で斬り殺した者の魂は、妙義山の奥深く、不死蝶の滝でさまようらしい。
三年前、彼の父親が交通事故死して以来、平山家には、黒い不死蝶が度々現れるようになる。
その度に、平山家に関係する人や家畜に不幸が起こるようになり、最近では、利夫が、不死蝶を連れた、謎の男から殺されるという夢に悩まされるようになっていた。
利夫は、不死蝶の謎を突き止めるべく、単身で、群馬県南西部にある妙義山に登る。
そこで、不死蝶を見つけ、彼が追うと、白いガウンを着た女性に出会う。
力づくで女性から不死蝶を奪おうとするも、目くらましにあった拍子に崖から転落。
命は助かったものの、足を骨折し、東京に戻る。
東京の邸でも不死蝶は何度も現れ、遂には、用心棒の相馬大次郎が鱗粉によって窒息死させられる。
妙義山で会った女性から招待を受け、利夫は、妹の愛子、いとこの堀江謙二と共に、再び妙義山を訪れるのだが…」
推測ですが、杉戸光史先生が妙義山に観光に行ったことから描かれたのではないでしょうか?
ただ、妙義山に「不死蝶の滝」の伝説があるかどうかは謎であります。
物語としては、若干、練り不足なところがあります。
冒頭の、主人公が悩まされる悪夢についての説明が作中にないのは痛いと思います。
・備考
ビニールカバー剥がし痕あり、また、袖にビニカバ残り。糸綴じあり。後ろの遊び紙に書き込みあり。
2019年12月10日 ページ作成・執筆