池川伸治「フローラと獣 フローラの巻」(京・速作/220円/1967年頃)
「花咲みきは、親友の悦子の誕生パーティーに向かう途中、日野一郎、次郎の兄弟とすれ違う。
彼らは資産家の息子で、兄の一郎は若き彫刻家であった。
みきを一目見ると、一郎は「フローラ」と幾度も呟き、愕然とする。
彼女は、彼が今制作途中のフローラと呼ぶ少女像とそっくりであった。
生命あるものには勝てないことを思い知らされ、一郎は像を破壊。
「想像上の生物に現実の生命感を与える」ことを理想とする一郎は花咲みきとの再会を願い、弟の次郎は悦子に相談する。
ある日、みきは、悦子や次郎と共に、一郎のアトリエを訪れる。
そこで、彼女は一角獣の彫刻を一目見て、魅了される。
実は、彼女はその頃、馬のような動物にフローラと何度も呼びかけられる夢を見るようになっていた。
一方、一郎は、フローラの彫像に幾度と取り掛かるが、どうやっても、みきの姿になってしまう。
しかも、作業に没頭し過ぎて、昏倒した際に、アトリエは焼失してしまう。
全ての彫刻を失い、途方に暮れる一郎の前に、みきは現れ、一角獣の彫刻を再度作るよう頼む。
だが、フローラと一角獣の設計図を見た父親は、その彫刻をつくらないよう厳命。
父の命令に反し、一郎は再びフローラと一角獣の彫刻に取り掛かるのだが…。
フローラと一角獣の彫刻に秘められた因縁とは…?」
かなり少女マンガを意識した絵柄になっております。
原作者も付いておりますので、もしかしたら、少女漫画雑誌に連載されたものなのかもしれません。
作品の途中に、太陽プロの新人作家、もりあきら氏の「雨傘」(1967年3月27日完成)という短編が載ってます。
売れない漫画家の主人公が、雨傘をなくし、その雨傘が巡り巡って、主人公のもとに幸運を運び込むというストーリーです。
・備考
ビニールカバー剥がし痕、かなりひどし。カバー背表紙下側、欠損。糸綴じあり。前の遊び紙、上隅が一部欠損。p17、上部の余白に落書きあり。pp28・29、食べ物のカスが挟まり、シミ。pp32・33、御飯粒が挟まり、破れ。後ろの遊び紙に貸出票の貼り付けあり。
2017年9月7日 ページ作成・執筆