好美のぼる「むささび少女」(220円)
「ムササビが多く住む山として有名な奥沢。
ある日、多吉という木こりが、背中に赤ん坊を背負って、仕事をしていた。
赤ん坊が泣き止まないので、彼がミルクをあげていると、切りかけの木が倒れて来て、多吉を直撃。
彼は亡くなり、赤ん坊は行方不明となる。
七年後、加山と崑という雑誌社の社員が、ムササビの写真を撮りに、奥沢にやって来る。
彼らは、木々をむささびのように飛び回る少女を目撃し、キャンプを張ることにする。
しかし、カメラや双眼鏡、リュックを次々と少女に奪われ、大弱り。
そこでバーベキューをして、匂いで少女を誘い出そうとしたところ、荒れ果てた身なりの男が現れる。
彼は自称動物学者で、二年間、ムササビ少女を追いかけているが、いつも逆襲されてばかり。
男は、ムササビ少女を捕まえることに協力すると言い、ムササビ少女用の罠を張る。
その罠とは、女性向けの着物を吊るし、その下に落とし穴を仕掛けるというものであった。
だが、加山は、着物にすがりつくムササビ少女の姿に、まだ人間の心が残っていると確信する。
彼はムササビ少女と心を通わせていくのだが…」
タイトルからもわかるように、ムササビに育てられた少女の話です。
世界広しと言えども、ムササビに育てられたのは、彼女だけでありましょう。
ムササビに育てられただけあって、自在に木々の間を飛び回ることができますが、全裸の少女が空を舞う描写は、う〜ん、なかなかヤバいかも…。
また、動物と言葉を交わす方法にも触れられており、これはかなりの新発見です。
主人公が言うには「動物の言葉は知らなくていいのだ 感情さえこもっていたらね」(p109)とのことで、具体的には、頭で伝えたい事物を思い浮かべながら、ひたすら、その動物の鳴きまねをしたらいいようです。
非常に簡単ですので、動物を心から愛する人達には是非ともチャレンジしていただきたいと思うます。
ちなみに、巻頭のダイジェストも相変わらず、フル・スロットルでとばしてます。(下の画像を参照のこと。糸綴じのため、見にくい箇所があります。)
ダム建設中の作業員が次々とムササビ少女に襲われる…と紹介されておりますが、全く、関係がないね!!
煽りとしては一級だけど、中を読んで、がっかりした人、多かったのではないでしょうか?(出版社の人間は黙認していたのか?)
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。
2019年12月2日 ページ作成・執筆