さがみゆき「あの人とみどり猫」(220円/1968年頃)



「伊豆の下田から海上七里、そこに「鬼女の首島」と呼ばれる、小さな島があった。
 地図にも載っていない、その島に降り立った、三人の若い男女、光一、信子、英子。
 その島には光一の乳母だった婆やがいて、婆やのもとへ泊まりに来たのであった。
 三人が島に着いて間もない頃、彼らは崖の上から花びらを散らす少女を目にする。
 少女が飛び降りようとしていることを察した、光一は少女のもとに駆け寄り、自殺を阻止する。
 その場から走り去る少女を光一は追おうとするが、少女の飼っている、緑色の猫に引っかかれてしまう。
 三人は迎えに来た婆やとその孫の志津子と共に、婆やの家へと行くが、そこで少女の話をすると、婆やは顔色を変える。
 大量の傷薬で傷口を消毒された後、婆やは光一にあの少女に近づいてはいけない、また、次の船便で一刻も早く島を出るよう言う。
 その夜、縁側で光一が少女のことを考えていると、光一の前に緑色の猫が現れる。
 その猫の後に付いていくと、あの少女が光一を待っていた。
 この少女の秘密とは…?
 そして、この小さな島で、次々と恐ろしい事件が起きる…」

 正直なところ、イマイチです。
 本編後の読者のページで、さがみゆき先生も書いておりますが、「弱いストーリー」であります。
 貸本マンガに必要な「勢い」がありません。ストーリーの説得力も乏しいです。
 読んで、心に残るのはヒロインの無軌道ぶりばかりで、感情移入が全くできないのが、つらいところです…。
 読者のページでは、さがみゆき先生が心から慕う祖母が亡くなられたことが書かれており、かなり心が弱っていたのかもしれません。
 まあ、こういう時もありますわな。

・備考
 カバー若干の痛み。後ろの遊び紙、折れあり、また上の隅に「50(円)」の書き込みあり。(昔は反古同然に叩き売られていたという話ですが…)

平成27年11月20日 ページ作成・執筆

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