だんしんじ「妖怪水地獄」(B6判/240円)
「1969年2月、〇〇県○○郡○○村(本当にこう書かれてます)。
橘冬子は、放課後の掃除中、突然倒れる。
医者は最初、過労と診断するが、二日経っても、彼女の容体はよくならない。
ある夜、彼女は花瓶の水を飲んでいるところを看護婦に見られ、看護婦を襲う。
実は、冬子は「人の十倍も二十倍もの水を飲んでいないと生きていられない」(p56)体質になっていた。
「からだに水分がなくなると 急に疲労して 目がかすみ 肌が老女のようにしわだらけにな」り、「死ぬようにくるしい」(p57)。
更に、その間は別人のようになり、「自分で自分のやっていることがわからない」(p58)のであった。
翌朝、冬子の熱が60度に達したことから、彼女は東京の病院に運ばれる。
だが、冬子は、水よりも血を求めるようになっていた。
彼女の奇病と、天保の大飢饉の際に起こった、悲惨な事件の関係とは…?」
表紙と中表紙は、幻想絵画風に決めており、期待してしまいますが、内容は右上の画像のような感じです。
一読して、受けた印象は、好美のぼる作品と共通するオーラがムンムンだということ。
冒頭の内容解説(ストーリーとは若干、違う)といい、テキト〜な展開といい、怖がらそうと頑張っているけど、どこかユーモラスな恐怖描写といい、いちいちツボにはまります。
この単行本は160ページ近くありますので、恐らくですが、描きとばしているうちに、こんな感じになったのではないでしょうか?
ともあれ、ヒロインがモンスター化する描写はかなり力が入っておりますので、読み応えはあると思います。(作者に画力がもう少しあれば、と思わずにいられない…。)
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。冒頭と巻末の三ページ、喫茶店のスタンプあり。pp100・101、食べカスが挟まってシミ。
2020年4月22日 ページ作成・執筆