西たけろう「殺人サーカス」(220円)
「11歳の夏、町に来たサーカスを覗きに来たマリーは、新米のピエロ、ヌアージュと仲良くなる。
誰も褒めるものがなかったヌアージュの演技をマリーは絶賛し、翌日、父親と一緒にサーカスを訪れた際、ヌアージュに声援を送るのだった。
七年後、ヌアージュのいるサーカスがやって来る。
ヌアージュは一流のピエロの仲間入りをしており、看板スターとなっていた。
しかし、その間、マリーの生活は父親の病気を契機に急転していた。
叔父一家の世話になるものの、親子共々屋根裏部屋に押し込まれ、マリーは底意地の悪い叔母にこき使われる。
しかも、マリーを偏執的に愛する、ストーカー気質のジャンの婚約者にされてしまっていた。
そんな暗い日々、ヌアージュのサーカスはマリーの心に一条の光となって差し込む。
休日、ジャンと一緒に外出したマリーは、ジャンの底なしの嫉妬心に耐え切れず、逃げ出す。
マリーの足はサーカスに向き、そこで今や世界一と言われるまでになったヌアージュの演技を観る。
ショーが終わってから、マリーはヌアージュの楽屋に向かうと、名前だけで通してもらえる。
ヌアージュはマリーのことを忘れていなかったのだった。
七年ぶりの再会だったが、そこへジャンが乱入してきて、マリーを無理矢理連れ出してしまう。
帰宅後、マリーは叔母の叱責を受け、外出できないよう、ジャンに髪を切り取られてしまう。
幾日も続く、過酷な仕打ちに耐え切れず、マリーは家を飛び出し、サーカスに向かう。
夜、サーカス・テントの外でヌアージュはマリーを待っていた…」
「殺人サーカス」というタイトルから「サーカス内で起こる連続殺人」という内容を連想するかもしれませんが、全く違います。
非常にイノセントな内容でありまして、いい意味で期待を裏切られました。
じんわりと心にしみ入ります。良作でありしょう。
・備考
ビニールカバー貼り付け。糸綴じあり。前の遊び紙にマジックによる数字の書き込みとセロテープの痕が幾つかあり。pp57・59・60、墨汁のようなものの痕あり。
平成27年10月26日 ページ作成・執筆