西たけろう「私の死体」(220円)
「中学校二年生の佐々木みすずは、一か月も毎夜、同じ夢を見ていた。
その夢は、もう一人の自分に呼ばれ、付いて行くと、見知らぬ林の中に出て、目の前の湖でもう一人の自分が溺れ死ぬ、というものだった。
気味の悪い夢を毎夜見続け、みすずはとうとう夜に眠れなくなる。
春休み、父親の手配で、精神病院を経営している伯父を、みすずと母親は訪ねる。
伯父の屋敷に向かう途中、初めて来る場所なのに、みすずは辺りの風景に見覚えがあるような気がする。
また、伯父の屋敷の中に、青銅の鎧があるのが何故かわかり、それを無性に恐れたりもする。
応接間で伯父と話している時、みすずは急な睡魔に襲われる。
夢の中では、ひげを生やした男がみすずに林に行こうと迫ってくる。
みすずはどうしてあんな夢を見たのか訝るが、その時、伯父の病院から三次という男が脱走していた。
この三次という男は、伯父の屋敷の使用人だったが、ルリ子という娘が行方不明になったショックで、突如発狂したのだと言う。
そして、みすずは部屋の窓の向こうに、夢に出てきた男の姿を見るのだった…」
・備考
ビニールカバーの剥げ痕あり。カバー痛み、背表紙上部欠損、また、背表紙の作者名に鉛筆(?)による落書きあり。この本の上で、書き物をしたらしく、カバーにうっすら字の跡あり(しかし、実際のところは何なのか、よくわからず)。小口に貸本店の店名スタンプあり。
平成27年10月3日 ページ作成・執筆