池上まさる「死神に祈る」(220円)



「山部一郎という17歳の高校生が冬山で遭難する。
 彼は、大財閥の山部銀作の息子でマスコミは大騒ぎする。
 しかし、当の山部銀作とその妻は息子が冬山に登ることを止めもせず、死んでも全く気にしない様子であった。
 ただ一人、妹のミサだけは兄を心配し、心を痛める。
 一方、八ケ岳(作中では「八ツ岳」)で遭難した一郎は、近くの山小屋に住むユミとその父親に助けられる。
 ユミの父親は片目で、左腕が義手であった。
 ラジオのニュースで、一郎のことを知ると、彼の父親について思わせぶりなことを言う。
 天気が回復し、一郎は山小屋を去るが、熊らしきものに井戸に突き落とされる。
 井戸の中には人骨があった。
 ユミは井戸の底に彼がいることを知り、助けようとするが、ユミの父親は、中にいるのは熊だと言って、岩を落とす。
 ユミは父親を制止し、一郎は命からがら井戸から脱出。
 タクシーで自宅に帰るも、彼は家の庭で力尽きて倒れてしまう。
 妹のミサは医者に電話をかけるも、母親が先回りして電話をかけ、医者を来ないよう手配する。
 また、その夜、父親の銀作は一郎の部屋の窓を全開にして、凍死させようとする。
 しかし、心配したミサがそれに気付き、救急車を呼び、一郎は病院へ運ばれる。
 この知らせを聞き、定年間近の島刑事が病院に駆け付ける。
 彼は、十年前のある事件をずっと追い続け、山部銀作に目を付けていた。
 島刑事は山部夫婦を病院に呼び出すのだが…。
 その後、ユミの父親は一郎の死をラジオニュースで知り、山部銀作の邸を訪れる。
 その目的とは…?
 彼らは十年前の事件とどういう関わりがあるのであろうか…?」

 西たけろう先生による印象的な表紙に「死神に祈る」というカッコいいタイトルと来たら、期待は膨らみますが、内容は大したことないです…。
 ぶっちゃけ、新味のないサスペンス・ミステリーで、それ以外に形容のしようがありません。
 ちなみに、池川まさる先生は、太平洋文庫で活躍した松田ごろう先生の新しいペンネームです。
 池川まさる名義の作品はどのくらいあるのでしょうか?

・備考
 ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じあり。小口に貸本店のスタンプ。後ろの遊び紙に数字の書き込みあり。

2022年3月2日 ページ作成・執筆

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