好美のぼる「妖怪姉妹」(240円)
「雪解けを迎えた越後、山間にひっそりとある黒水村。
その村にある常願寺に、年若い姉妹が訪れてくる。(姉の名は夜叉、妹の名は般若…スゴいネーミング・センスだ)
姉妹は、毒を飲んで自殺した福田夫婦の子供と称して、夫婦の墓参りに来たのである。
福田夫婦に子供はなかったはずと訝りながらも、常願寺の和尚は二人を寺に滞在させる。
以降、黒水村では、高利貸しの夫婦、豪農の男性、農○の理事長、村長、駐在が次々と変死を遂げる。
彼らは皆、福田夫婦の死に関係する者であった。
実は、過去に福田夫婦に命を助けられた土グモの姉妹が、人間に化けて、復讐を果たしていたのである。
姉の夜叉をイタチに殺され、一匹になりながらも、妹の般若は復讐の総仕上げにかかる…」
まさかこんなことがあろうかとは夢にも思わなかったのですが、好美のぼる先生のマンガを読んで、「ジ〜ン」ときちゃいました。
これはなかなかいいです。
新鮮味とは無縁でありながらも、昔懐かしの「民話」もしくは「仏教説話」といった味わいがあり、じんわりと心にしみいるものがあります。
ストーリーは(奇跡的に!!)破綻がなく、安心して読めるのも、ポイント高いです。
また、好美のぼる先生の宗教観(仏教)がストレートに現れており、説教臭いと疎んじる人も多いとは思いますが、この殺伐とした時代にはそこが魅力に映るのではないか、と、私は思っています。
個人的には、良作として、推薦しております。(読むのはかなり困難ではありますが…。)
・備考
カバー痛み、背表紙の上下の破れ。pp35・36、pp49・50、下部に折れ痕あり。p136の中断の「目」のグルグルは落書きなのかどうか…? 後ろの遊び紙に貸出票の剥がし痕あり。
2016年12月15日 ページ作成・執筆