池川伸治・他「月夜A」(220円)
収録作品
・池川伸治「墓母 第二回」
「雨上がりの朝。
八時に松江はお客さんを迎えると大張り切り。
同じ時間に父親も客人を招いていた。
「会社の人」と言うが、実際は松本という女性で、父親が再婚しようとしている相手であった。
松江は父親に反発し…」
・さがみゆき「恋人形」
「一か月の間、伸一郎は夜な夜な土蔵へ忍んで行く。
ある夜、妹のけい子は兄の後をつけ、兄の秘密を知る。
伸一郎は江戸時代の姫の姿をした等身大の人形(名前はおゆき人形)に恋をしていた。
彼は大掃除の際にこの人形を見つけ、この人形が人間になり、自分と結婚すると信じ込んでいた。
けい子は秘密を守る約束をさせられ、兄は相変わらず夜ごと、土蔵で人形と会う。
ある日、彼はおゆき人形が交通事故に遭う夢を見る。
慌てて土蔵へ向かうと、人形の額に傷がつき、血が流れていた。
彼は人形の額に包帯を巻くが、翌日、もっと驚くことが…」
・平乃治人「アトリエにて」
「画家の松尾は交通事故を起こし、被害者男性は片腕を失ってしまう。
これを秘密にするため、百万円の示談金を払うが、相手はこれをネタに松尾を強請るようになる。
たまりかねて、松尾はアトリエで被害者男性を殺害し、その死体を海に捨てる。
一週間後、友人の画家、大滝が松尾を訪ねてくる。
大滝は松尾が制作中の「人々」という絵を褒めるが、この絵に描かれた人物がいつの間にか皆、片腕になっており…」
・杉戸光史「真珠姫」
「満月の夜。
花野井れい子が浜辺を散歩していると、見知らぬ少女が倒れていた。
彼女はひどいケガをしており、れい子は彼女を家へ運び、手当てをする。
少女が気が付いた後、れい子が事情を聞くと、彼女は「悪魔」に襲われたと話す。
「悪魔」からはただ逃げるしか方法はなく、彼女の両親や一族は皆殺しにされていた。
しかも、「悪魔」は海からやってくるらしい。
その夜、少女の寝室から悲鳴が聞こえる。
れい子と彼女の兄が駆けつけると、黒服の男が彼女に襲いかかっていた。
竹刀で左腕を打つと、その腕がもげ、男は走り去るのだが…。
少女と黒服の男の正体は…?」
個人的には、さがみゆき先生「恋人形」が単行本のベストだと思います。
江戸川乱歩「人でなしの恋」かと思いきや、時を超えた恋愛もので、実にロマンチックな内容でした。
また、作品の後の呪いの木にまつわるエッセイも興味深いです。
・備考
ビニールカバー貼り付けあり。糸綴じあり。前後の見開きに裂け。小口の底にマジックで書き込みあり。前の遊び紙にボールペンで書き込み。本文、汚れやシミ幾つもあり。pp41・42、下部にコマにかかる欠損。後ろの遊び紙に鉛筆での書き込みあり。
2024年6月6日 ページ作成・執筆