小室しげ子「ばらの封印」
(1985年1月10日第一刷 1986年3月20日第六刷発行)
このマンガ、実は、スティーブン・キングの「呪われた町」の換骨奪胎なのであります。
舞台が日本だったり、主人公が双子の高校生とか、設定は大幅に変えてはおりますが、話の大筋はほぼ一致します。
そう言ってしまうと、なんだか駄作のようですが、そこはトラウマ描写でカバーなのです。
吸血鬼になった家族が死んだものと思われて火葬されてしまったり、主人公のボーイフレンドが単独で吸血鬼退治に出かけ返り討ちにされたり、なかなか頑張っております。
しかも、主人公の双子の片割れだけでなく、両親、親友も片端から吸血鬼にされていまい、町の大半の人間が吸血鬼の毒牙にかかる始末。
たいてい、この手の少女マンガでは諸悪の根源の吸血鬼を倒せば、皆、もとに戻ってハッピーエンドなんですが、そんな甘っちょろいことなんかせず、ラスト、吸血鬼になった者は皆、焼け死んでしまうのでした。
容赦ありませんよね…。
でも、そこがいい!!
関よしみ先生の作品に代表されるように、少女マンガの皮をかぶった、ヘビーな怪奇マンガって、実はあまりありません。
そんなマンガの、隠れた逸品なのではないか…と、私は考えるのであります。
当たり外れは別として(注1)、好きなマンガなのは確かなのであります。
・注1
ユーゴスラヴィアの映画だったか、『ストラングラー 猟奇マザコン絞殺魔』より引用いたしました。
平成25年11月11日 ページ作成・執筆
平成26年3月26日 改稿