菊川近子「黒魔術の女」(1990年8月11日第1刷発行)
収録作品
・「黒魔術の女」(1990年「BE・LOVEペア」1月号)
「森内理乃はとある会社のOLさん。
ある日、川添沙羅という女性が彼女に面会に来る。
沙羅は理乃の幼なじみで、頭が良かったが、今は会社を辞めて家事手伝いの身分。
彼女が仕事を辞めたのは、自分に魔力があることを知り、魔女になるための修行をするためであった。
その話を聞き、理乃は驚きあきれるが、沙羅は魔女の存在を信じてもらうために一つだけ願いを叶えるという。
理乃には会社に城戸真一という憧れの人がおり、彼の心を射止めたいと望む。
沙羅は「ニッセ(恋の橋渡しが得意な妖精)の呪法」を提案し、これにより、彼の心は彼女に傾く。
だが、彼には浅見裕子という恋人がおり、彼女は彼にかなりご執心であった。
そこで、沙羅は恋のライバルに勝つ「オーレイリーの呪法」を教えてくれる。
しかし、これでは呪力が弱く、沙羅はもっと強い呪法を勧めるのだが…」
・「生贄」(1989年「BE・LOVEペア」11月号)
「村岡逸子は生後六か月の美輪に恵まれ、幸せな日々を送っていた。
ところが、夫の昭一が同じ会社のOLと不倫をしていたことが発覚し、家庭の危機に直面する。
相手は糸原由里子という女で、妊娠を理由に昭一に結婚を迫る。
逸子は糸原由里子に夫に別れるよう直談判するも、由利子は慰謝料を一千万円要求。
さもなくば、職場で不倫したことを会社にばらすと脅す。
二進も三進もいかなくなり、逸子が途方に暮れていると、見知らぬ中年女性が声をかけてくる。
中年女性はブラジル生まれの日本人の占い師で、逸子の窮地を救ってくれると言う。
彼女が使うのは「ブーズ―教による呪殺」で、報酬は三百万円。
それでも先々のことを考え、逸子は美輪を友人に預け、金策に奔走する。
その夜、糸原由里子は怪死するのだが…」
・「スペース・ドール」
「OLの花の井里佳子は同じ会社の大沢に想いを寄せていた。
だが、大沢には秘書課の池田が接近しており、焦るものの、どうしたらよいのかわからない。
マンションで一人思い悩んでいると、突如、地震が発生する。
震度は大したことはなかったが、地震の影響で、彼女の部屋の壁が別の空間につながってしまう。
その空間とは憧れの大沢の部屋であった。
彼女は毎晩、彼の寝顔を見守りに行くが、ある日、彼が彼女に声をかけてくる。
彼は毎晩、彼女の夢を見ていると話し、どうやら彼女にかなり心を傾けている様子。
その日の夜、彼女が彼の部屋に行くと、彼は風邪で高熱を出していた。
彼女は彼を看病するのだが…」
・「忘れてきた時間」
「内山美恵は女子高生だった頃の初恋の相手がずっと忘れられなかった。
相手は毎朝、通学路ですれ違うだけの関係で、彼のことは男子校の制服を着ているということしかわからず、ある日を境に姿を見せなくなる。
七年後、OLの彼女は大阪信というダメンズと同棲していた。
信はシナリオライター志望であったが、ろくに書かず、彼女を当てにしてブラブラしている。
そして、彼と諍いをした後はいつも、あの青年ともう一度会いたいと彼女は心から願うのであった。
ある日、彼女の会社に弓岡高司というサラリーマンが面会に来る。
彼こそが七年前の青年で、彼もまた彼女に想いを寄せていたという。
彼は彼女に交際を申し出て、彼女もまた新しい一歩を踏み出そうと考える。
二人の仲を大阪信はいち早く嗅ぎつけるが、相手が弓岡高司と聞いて顔色を変える。
信は高司に会わないよう彼女に言うが、その理由とは…?」
ベテランらしく、どの作品もそつがなく、まとまってます。
「黒魔術の女」「忘れてきた時間」は佳作と呼んで差し支えないでしょう。
個人的なお気に入りは、心がほんわかする「スペース・ドール」。
あと、「生贄」はあまりに踏んだり蹴ったりで、さすがに気の毒でした。
2025年4月16日 ページ作成・執筆