古賀新一「血まみれの竹人形」(1987年9月12日第一刷発行)

「霊能力少女の午刻舞子(ごこく・まいこ)は、出版社の編集長をしているおじから、ある依頼を受ける。
 それは、往年の美人女優、美川路子(故・原節子がモデル?)のその後について調べるというものであった。
 美川路子は、全盛期の真っ只中、三十代で突如引退して、以来、行方は杳として知れなかった。
 いくら占っても、全く手がかりが掴めず、舞子は美川路子の生まれ故郷を訪ねることにする。
 そこは奥深い山間に開けた町であったが、住人は古い因習に囚われ、女を汚れたものと捉えていた。
 旅館で、舞子は竹女(不妊の女)の地縛霊に出会い、その怨霊が、同じく旅館に泊まっていた妊婦を憑り殺す場面を目撃する。
 妊婦の葬式に参列した舞子は、そこの祖母から、孫娘の由加と一週間、一緒にいて欲しいと頼まれる。
 その町では、女性の血は汚れたものとして、月のものや出産の時は町はずれの小屋で過ごすことになっていた。
 そこで、舞子達はウブメ(妊娠したまま死んだ女性)や子殺し産婆(中絶や間引きを行っていた産婆)の霊に襲われる。
 小屋を逃げ出した舞子は、寺のお坊さんに保護されるのだが…。
 彼女につきまとう赤子の霊の正体とは…?
 そして、美川路子を襲った、悲惨な運命とは…?」

 古賀新一先生にあって、楳図かずお先生にないもの…と言うと、大袈裟ですが、私は「いかがわしさ」だと考えております。(異論は多々あるでしょうが。)
 んで、「いかがわしさ」と「エロ」は表裏一体に近い関係でありましょう。
 この「血まみれの竹人形」は「エロ」とは言い難いのですが、扱っている内容が、恐ろしくアダルト・テイストです。
 「間引き」とか「女腹」とか、えらくドロドロした、いにしえの風習や迷信を「これでもか〜」と盛り込み、岩井志麻子先生の作品のよう…なのか?(一冊も読んでないので、わかりません。)
 と書くと、かなりどんよりした作品のようですが、古賀節はなかなかに快調で、予測不可能なラストは驚愕の一言。(まさか「首が曲がった女」が伏線になっているなんて…。)
 実は、古賀先生はかなり楽しみながら、描いたのではないか?と思わせるオーラをビンビン放射しております。

 あと、ところどころ、1980年代のホラー映画を彷彿させる絵柄があったことが嬉しかったりします。
(例/「CHUD」(p87)、「クリープショー」(p110))
 ビデオで観ていたんでしょうか?

2018年3月30日 ページ作成・執筆

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