渡千枝「死霊の花嫁」(1993年6月12日発行)

 収録作品

・「死霊の花嫁」(1992年「月刊少女フレンド9月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「高校三年生の沙智は、義父と、その年の離れた弟である修との三人暮らし。
 修はカメラマンをしており、夏休みのある日、沙智は、結婚式場での写真撮影の手伝いをする。
 モデルが急に休んだために、沙智は、花嫁衣裳を着て写真撮影に臨むが、その時、凄まじい悪寒に襲われる。
 以来、彼女には何者かの視線がつきまとうようになり、金縛りやら奇怪なことが次々と起こる。
 修は何か思い当たるふしがあったようだが、東北自動車道で事故を起こし、意識不明となる。
 修の荷物の中には、結婚式場での沙智の写真があり、それには見知らぬ男性の顔が写り込んでいた。
 この男が彼女に憑りついていたのだと悟り、沙智は、修が目指していた、T郡戸波村にある貴石寺を訪れる。
 そこでは、結婚前に亡くなった子女のために、人形や肖像画を供えて「死霊結婚」を行っていた。
 どうも、沙智の義父が手に入れた、梶田宗順の女性人形が今回の事件に関係があるようなのだが…」

・「魔を呼ぶ家」(1993年「月刊少女フレンド1月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「加納麻紀子は、交通事故で夫を亡くし、幼い江麻との母子家庭。
 翻訳の仕事で生活を支えていたが、より便利な東京に引っ越すこととなる。
 二人の新居はごく普通の家で、江麻は大はしゃぎ。
 しかし、徐々に江麻の様子に変化が見られるようになる。
 焼け焦げた絵本を大事にして、時々、別人のような怖い顔をして麻紀子を見つめる。
 また、江麻には「ヨーコ」という遊び友達がいるらしい。
 麻紀子はその名前に古い記憶を呼び覚ますものを感じるのだが…」

・「夕焼けの鎮魂歌(レクイエム)」(1990年「月刊少女フレンド8月15日号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「両親の死後、伯父の家に厄介になっている女子高生、南富由子。
 彼女のもとに、山崎幸三郎の弁護士から招待状が届く。
 山本幸三郎は、大手繊維会社の会長で、先月亡くなったばかりであった。
 とりあえず、向かった北海道で、富由子は、代理の弁護士の沢木に、北海道の、人里離れた場所に建つ洋館に案内される。
 招待客は、富由子を含めて六人。
 総合病院の院長をしている菅野とその妻。
 水商売の米倉リエ。
 普通の青年の綾部十志雄。
 暴走族風の本村雅也。
 屋敷で、彼らは、山崎幸三郎のビデオ・メッセージを見せられ、その中で「ひとかたならぬお世話」になったため「心ばかりの遺産」を分ける旨、告げられる。
 その夜、菅野が、地下の蝋人形館で、腸を引き出されて、惨殺される。
 招待客達は脱出の方法を探るが、屋敷の外には獰猛なドーベルマンが放たれ、外部への連絡方法もない。
 次の夜は、米倉リエが、蝋人形館にある、刑罰用の鉄カゴの中で死体で発見される。
 殺された人間は、山崎幸三郎の家族に何らかの危害を加えた過去があった。
 生き残りの招待客達は、自分達の中に殺人者がいるのではないかと疑心暗鬼になる。
 そして、富由子がここに呼ばれた理由とは…?」

2019年11月22日 ページ作成・執筆

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