すねやかずみ「踊れ!墓場で…@」(1998年1月16日第1刷発行)

・「第6話 恐怖・人間工場!?」(「マガジンスペシャル」1997年第8号掲載)
「極度のストレスから、葉樺純也は胃潰瘍の手術をすることとなる。
 入院中でありながら、漫画を描かねばならなくなった彼に、隣のベッドの患者が漫画のネタを提供すると言う。
 その患者は包帯で顔をグルグル巻きにしていた。
 彼女は自分が「Jプロジェクト」の新人ポップアイドルのエミナだと明かす。
 半年前、彼女の人気が出始めた頃、彼女の乗った車が事故を起こす。
 相手の運転手が死亡し、スキャンダルを避けるために、会社は彼女を山奥のロッジに監禁する。
 ここはテレビもラジオもなく、医者が一日一回、彼女の体調を診に来るだけ。
 一月も同じ状態が続き、うんざりした彼女はロッジから逃亡する。
 だが、世間では彼女とそっくりな娘がエリナとして活動していた。
 エリナは自分が本物と訴えるが、誰も彼女をエリナと認めてくれない。
 もう一人にエリナの正体とは…?」

・「第7話 腐蝕」(「マガジンスペシャル」1997年第9号掲載)
「トシオとトモ子(作中では「トモちゃん」)は若いカップル。
 夏の夕方の下校途中、彼女と別れた後、トシオに流れ星が落ちてくる。
 気が付くと、何も起こってはいなかったが、以来、彼の周囲に異変が起きる。
 身近な物や動物が朽ちたり、腐ったりするのだ。
 彼は自分の手が触ったものを腐蝕させてしまうことに気付く。
 どうにかこうにか生活していたものの、トモ子と約束した花火大会の日が来る…」

・「第8話 部屋に一人で」(「マガジンスペシャル」1997年第10号掲載)
「成田涼は、大学に通うために、上京し、都内のアパートを借りる。
 アパートは郊外の辺鄙な場所にあり、とても古びていた。
 引っ越し初日、彼の部屋のドアに汚らしいベッドが立てかけてある。
 「ナリタ これをつかえ」と紙が貼られてあったが、こんなものはいらず、彼は紙に文句を書いて、ベッドを横の壁に移す。
 引っ越しが終わり、住み始めるが、夜、上の階の住人の足音がうるさくてかなわない。
 文句を言おうとしたところ、上の階の住人は隣から怒鳴られ、静かになる。
 これで眠れるかと思いきや、どこからともなく水音が聞こえ、これが耳について眠れない。
 次いで金縛りになり、彼は包帯だらけの人間に襲われ、とび起きるが、何も起こってはいなかった。
 翌日の夜、彼はサークル仲間を自分の部屋に招くのだが…」

・「最終話 踊れ!葉樺先生…」(「マガジンスペシャル」1997年第11号掲載)
「怪奇マガジンに驚異の新人、黒咲マユが現れる。
 彼女のために葉樺の連載は最終回を言い渡されるが、確かにマユの漫画は凄い。
 どうやってあのような漫画を描くのか知ろうと、葉樺は彼女をつけて、生活を調査する。
 どうやら彼女は「恐怖を疑似体験」して、それを漫画に利用しているらしいのだが…」

・「神哭島伝説」(「マガジンスペシャル」1996年第9号)
「中学二年の守の一家はある浜辺の別荘で夏を過ごす。
 守と妹の理恵は、健太という漁村の少年と知り合い、豊かな自然の中で毎日を楽しく過ごす。
 守は、海の向こうにある神哭島に興味を持つが、あそこだけはだめだと健太に言われる。
 ある夜、守の一家は健太の一家に食事に呼ばれる。
 その最中、健太の家のドアを誰かが叩く。
 健太の父親が見に行くと、ドアに鱗がついていた。
 座は急にお開きとなるが、その夜、目を覚ました守は海の方から唸るような音を聞く。
 浜に出ると、海の上を行列が歩き、誰かが手輿で運ばれていた。
 翌日、健太の姉、久実が村から姿を消す。
 守が昨夜、見たことを健太に話すと、健太は神哭島にまつわる伝説を語る。
 そして、魔手は守の家族にも伸びる…」

 「踊れ!墓場で…」は「恐怖都市伝説」と副題があるように、「都市伝説」をテーマにして、作者としては「恐怖もの」よりも「怪奇もの」を目指したとのことです。(どちらがどう違うのかは不明。)
 第五話から「葉樺純也」という怪奇漫画家が主人公となりますが、人気がなかったのでしょうか、九話で連載は終了してしまいます。(最終話はちょっとすねや先生の恨みが入ってるかも…)
 もっと続いてもいい内容だったのに残念です…。
 あと、「神哭島伝説」は良作です。ただし、御茶漬海苔先生の漫画でお馴染みの「卵ぶつぶつ」が苦手な人にはお勧めできません。

2022年1月23・24日 ページ作成・執筆

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