成毛厚子「白昼夢」(1987年7月13日第1刷発行)

 収録作品

・「踏みだせば冥界」
「山科亜矢子は身重の身。
 夫は重度のマザコンで、夫も義母も子供のことしか関心がないように亜矢子は感じる。
 しかし、子供の父親は、結婚する前の恋人の藤井たけしであった。
 本当は、彼と共に駆け落ちをする予定だったのだが、たけしは約束の場に来ず、行方知らずとなっていたのである。
 夫や義母の素振から、亜矢子は、淳一が彼らに殺されたのではないかと疑い始める。
 そして、お腹の子供の命も狙われていると危惧するのだが…」

・「白昼夢」(1976年「週刊少女フレンド」4月5日号〜5月20日号)
「愛し過ぎた人形師の悲劇」
 人形師のアレンとエヴァは仲良し夫婦。
 だが、エヴァが勤め先の主人に襲われたことがきっかけで、二人の仲は危機に瀕する。
 エヴァに裏切られたと信じ込んだアレンは彼女を無視し、人形だけを愛するようになる。
 エヴァは夫を振り向かそうと思い悩んだ挙句、遂に…。
「いつわりの夫婦の悲劇」
 3月11日。
 平凡な一日のはずだったが、町では至る所で殺人が繰り広げられる。
 交番に駆け込んだマミは、巡査から今日が「特別な日」と教えられる。
 人口増加を抑制するため、この日だけは、殺したい人間を一人だけ殺すことが許されているのであった…。
「殺意をいだいた女の悲劇」
 病弱な故に、幼い頃から床を離れられない娘。
 妹の多重は姉に献身的に尽くすが、姉にとっては妹の献身さえも憎らしい。
 ある夜、姉は多重がこっそりお百度参りを踏んでいることに気付く。
 妹が自分の死を願っていると思い、逆上した姉は多重に毒を盛るのだが…。
「おごれる人類の悲劇」
 ある男子学生が理科の時間に発見した、奇妙なカエル。
 そのカエルが人の頭に跳び乗ると、相手はカエルへと化してしまう。
 彼はそのカエルを使って、気に入らない連中をどんどんカエルに変えていくのだが…。

・「黒い靴下」(1980年「ヤングレディ」2月26日号)
「アデールは、十歳以上年上の夫を持つ、有閑マダム。
 退屈な日常に飽き飽きし、彼女は夜の町へと出る。
 そこで、ギイという青年と出会い、彼女は思う存分、羽を伸ばす。
 だが、ひどく酔っ払った際に、彼の部屋に連れ込まれ、ベッドに押し倒されてしまう。
 女友達の機転で夫には知られなかったものの、彼女のもとに現場の写真が同封された脅迫状が届く…」

・「恐怖招待状B 死神は夜来る」(1975年「別冊少女フレンド」3月号)
「ある夜、女子高性のマキは、憎い相手を殺す夢を見る。
 すると、夢に出て来た相手は、その夜の内に心臓麻痺で死んでしまう。
 次の夜は、自分のカンニングを目撃したクラスメートを夢で殺し、それが現実となる。
 彼女は、憎い相手や邪魔な相手を次々と葬ろうとするのだが…」

・「恐怖招待状C クモを見た!」(1975年「別冊少女フレンド」3月号)
「怪奇漫画家の留奈は、友人の祥子から秘密を打ち明けられる。
 祥子は、外科医だった兄の臨終の際、兄の口から蜘蛛が出てくるのを目にしたのであった。
 蜘蛛は屋根裏部屋へと向かうが、そこは蜘蛛の巣がびっしり張られていた。
 祥子が蜘蛛を観察するうちに、奇妙なことに気付く。
 蜘蛛の巣にかかった獲物の数だけ、近所で死人が出るのであった。
、彼女は蜘蛛が死の世界と何らかのつながりがあるのではないかと推測する。
 留奈は祥子に自分のところに来るよう勧めるのだが…」

・「闇のテーブルメニュー」(1977年「増刊少女フレンド」9月号)
「ACTT たまご」
 アニタは、出産を間近に控えた、姉のグレースを見舞いに病院へ行く。
 だが、彼女のお腹は大きくなく、大きな卵を大事そうに抱いていた。
 グレースは卵の中に自分の子供が入っていると話す。
 アニタは人間は胎生だと訴えても、誰も彼女の言葉に耳を貸さない。
 その夜、真相を確かめるため、アニタはグレースの病室に忍び込むのだが…。
「ACTU 魚」
 闇の中、春美はふと思い出す。
 活け造りの料理屋で、料理される魚の悲鳴を聞いたことを。
 そして、今、彼女達は…。
「ACTV ?」
 食道楽のハロルドとジョゼは、レストランを探して繁華街を歩く。
 すると、奇妙な中国人が、キャンセルが出たので、ただで「特別料理」を食べないかと二人に持ち掛ける。
 二人は中国料理を堪能するが、さて、メインディッシュの「特別料理」の中身とは…?

2019年4月10日 ページ作成・執筆C
2020年9月16日 加筆訂正

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