高階良子「死者の狩人」(1987年11月6日第1刷発行)

「芦田恵理は先輩の武上弘明をひそかに想い焦がれていた。
 その彼が部活の事故で死んでしまう。
 彼の通夜に出かけると、葬儀に長い黒髪の男が列席していたが、彼の姿は恵理以外には見えていない。
 恵理は幼い頃、その男を目にしたことがあったが、彼は死神であった。
 弘明を生き返らせるため、彼女は冥界に赴く決意を固める。
 亡くなった祖母によると、月夜、千夜月にさらして織り上げた布をまとって、四辻に行くと、冥界に降りれると言う。
 そうして訪れた「よもつひらさか」にて、彼女は死神〈デス〉と、まだ現世に留まっている弘明の霊に出会う。
 デスは、彼女に彼の命を救いたければ、代わりの命を提供するよう恵理に大鎌を手渡す。
 恵理は、弘明の死を嘆き悲しんでいた彼の母親の命を刈り、弘明は息を引き返す。
 だが、「デスの刃」を手にした恵理の身体は冥界に囚われ、「百の血の洗礼」を受けねばならなくなる。
 それはすなわち、デスの代わりに、百の命を刈ることであった。
 肉体を失った恵理は、様々な生き様を目にして、刈る命を選ばねばならない。
 恵理が人の命を如何様にも左右できることに苦悩すると、デスは人間の心を捨てるよう忠告する。
 何故なら、彼女はもう人間には戻れず、デスの後継者となる身であったからであった。
 悲嘆する恵理にデスはある賭けを提案する。
 それは、彼女の愛する武上弘明が、彼女を救い出せるかどうかであった…」
(1987年9月「なかよし増刊号」掲載)

 名作です。
 また、個人的に、大好きな作品です。
 ラストは高階良子式ハッピー・エンドですが、一抹のほろ苦さがあり、味わい深いです。
 この作品には、あしべゆうほ先生の「悪魔の花嫁」の影響があるように言われてますが、そこまで確認取れてません。ごめんなさい。

 コミックス・ミステリーにて再刊されておりますが、その際、最初の単行本化の際に(恐らく)削除されたラストの1ページ(デスの後姿)と「私の恐怖体験」(3p/安アパートでの霊体験)が追加されております。

2017年10月29日 ページ作成・執筆
2024年1月16日 加筆訂正

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