成毛厚子「死への終幕」(1986年7月14日初版発行/1987年11月20日7刷発行)

・「死への終幕」(「ハローフレンド 1986年1月号」)
「古着屋でロングコートを買った三原良枝。
 コートの中には、ミュージカルのチケットが入っていた。
 そのミュージカルには良枝が憧れていた役者の真木俊也が出演していた。
 良枝は喜んで、ミュージカルを観に行くが、観劇中のちょっとした出来事がもとで、真木俊也と知り合うことができる。
 が、コートを着ていると、たびたび怪異に見舞われ、その周囲には真木俊也がいるのだった…」

・「ままごと遊び」(「ハローフレンド 1985年2月号」)
「いつも独りでままごとをするか、絵本を読んでいるかしている少女、千果。母子家庭の千果は、ほとんど母親にかまってもらえない。
 保母志望の槙子は独りぼっちの千果をかまおうとするが、彼女は絵本に触られることを極端に嫌う。
 千果が寝たのを見計らって、槙子が絵本を読んでみると、五郎太という化物が子供と仲良くなる内容だった。
 千果は、絵本の中の五郎太が実在すると言うが…」

・「ルーシーのおもちゃ箱」(「ハローフレンド 1985年6・7月号」)
「ルーシーとジョナの姉妹とバディは幼馴染。
 ルーシーは賢く、クール。対照的に、ジョナは活発でおっちょこちょい。
 そのせいか、ジョナはよくものをなくしたり、壊したりしていた。
 そんな生命力溢れるジョナに魅かれたのか、バディはジョナに告白、二人は両想いとなる。
 が、それ以降、たびたびおかしなことがジョナの身の周りで相次いで起こるのだった…」

・「渡り廊下」(「ハローフレンド 1986年6月号」)
「木造の旧校舎と鉄筋の新校舎をつなぐ渡り廊下。
 江崎美和子は旧校舎で宮部よりこが不良グループにいじめられているのを目撃。
 後で、宮部よりこに優しく接する美和子だが、宮部よりこに頼られてしまう。
 しかし、不良グループに目を付けられることを恐れ、結果としては、美和子は宮部よりこを見捨てることとなる。
 その後、宮部ゆりこは自殺。
 良心の呵責に苦しむ美和子はしばしば宮部ゆりこの霊を視るが、彼女だけにしか見えない…」

 内容としては、どれも水準以上だと思いますが、中篇「ルーシーのおもちゃ箱」はなかなかの佳作です。
 よくある話でしょうが、妹にちまちました嫌がらせを繰り返して、陰でほくそ笑む姉の描写が冴えてます。

平成27年1月25日 ページ作成・執筆

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