JET「死霊の花」(1996年8月9日第一刷発行)
収録作品
・「死蝕人形」(描きおろし)
「巻島は安アパートに住む粗暴な男。
夏、彼は毎晩、隣室からの妙な音に悩まされていた。
隣室に住むのは陰気そうなサラリーマンで、次の日の朝、彼はサラリーマンに文句を言いに行く。
しかし、逆に夜中に壁を叩くのを止めるよう言われ、更に、管理人にも彼に苦情が来ていると注意される。
孤立無援に陥った彼は音の正体を突き止めようとするのだが…」
・「逢魔が辻」(1993年「NOEL SUMMER号」)
「夜の都会。
道と道が集まる所には、人と人でないものが交わる辻がある。
闇の辻に住まう、一人の人形師と人形の黒姫太夫。
太夫は地縛霊となった娘の首を毬にしようとするが、久志という青年に邪魔される。
彼は娘の霊を、彼女を殺した愚連隊の前に連れて行き、謝罪を求めるのだが…」
・「赤い顔」(1987年「プロムナイト」No.2掲載)
「ある写真週刊誌に載った、俳優の日高達彦の自殺写真。
死の直前の日高達彦のサングラスには赤い女の顔が映っており、心霊写真と騒がれる。
ライバル雑誌の記者、鷹瀬浩二は、これを利用し、「美女の呪い」として記事を組もうと考える。
早速、日高達彦のマネージャーを訪問するが、彼は浩二の顔を見るなり逃げ出し、交通事故死する。
だが、轢いた車に乗っていたのは女性だったのに、実際の運転手は男性であった。
日高達彦について調べるにつれ、奇妙な事実が明らかになる。
二か月前、日高達彦とマネージャーは、あるホテルで女の自殺死体の発見者になっていた。
更に、現場には、テレビの安部プロデューサーも仕事の打ち合わせでいたらしい。
自殺した女性は、岩手県から上京してきた伏見理絵(22歳)。
彼らの関係を探るうちに、意外な真相が浮かび上がってくる…」
・「13」(1994年「月刊ハロウィン」3〜5月号掲載)
「第一夜 2月13日」
バレンタイン・デーの前日。
放課後の誰もいない教室を、一人の女子学生が訪れる。
彼女は、意中の彼の机に、自分のチョコを入れようとする。
だが、彼の机には先に誰かがチョコが入っていた。
彼女はそのチョコをゴミ箱に捨て、自分のチョコを入れる。
しかし、教室を出ようとすると、彼女のチョコは机から落ち、机の中にはさっき、捨てたチョコが入っていた。
同じことが繰り返され、彼女は教室から出ようとするも、扉が開かず…。
「第二夜 13階段」
水野靖子は、学校の屋上で、いじめっ子達のリンチにあった後、階段から転落死する。
以来、その階段には、彼女の幽霊が出るとの噂が立つ。
いじめっ子のリーダーは、その噂がデタラメだと証明する為に、夜中にそこを訪れるのだが…。
「第三夜 出席番号13番」
新しいクラスになって、須藤江梨奈は孤立していた。
クラスメートだけでなく、前のクラスでは親友だった三塚節子や、先生からも無視される。
机に花を生けた花瓶まで置かれて、ようやく江梨奈はあることを思い出すが…」
・「間(はざま)」(1992年「眠れぬ夜の奇妙な話」VOL.10)
「朝の電車のラッシュ。
一人の女子高生が、人身事故に巻き込まれ、普段は降りない駅に降りる。
電車にとび込み自殺をしたのは、彼女と同じ高校の女子生徒。
彼女は、自殺した女子生徒の勇気に感心し、自分の臆病さ、惨めさを思う。
運転が再開され、彼女は電車に乗ろうとするが…」
・「WITH ME…PLEASE」
「ある女性が区立図書館を訪れる。
この図書館は8年前、彼女が学生だった頃、よく利用していた。
ここで彼女は不思議な青年と出会う。
彼は彼女が妊娠していること、また、堕ろすかどうか迷っていることを一目で見抜き、彼女に「おもしろい話」をすると言う。
彼は自分が1970年に起きた「連続切り裂き魔」事件の犯人だと明かすのだが…」
・「17年目の万聖節」
「みつきはボーイッシュで勝気な女子高校生。
彼女の彼氏は8歳年上のサラリーマンで、ハロウィンの夜、パーティに誘うも、あまりにノリが悪く、彼女は腹を立てて一人でパーティに行く。
彼女は痛飲しているうちに、気が付くと、見知らぬバーにいた。
ここは化け物だらけで、彼女は気合が入っていると大喜び。
彼女は色黒でダンディーな男性と一緒に飲み語るが、夜明けが近づき、そろそろ解散の時刻。
男性は彼女を「永遠という時間の内」へと誘うのだが…」
JET先生の「読みきり短編」を集めた単行本です。
個人的なベストは不思議な味わいの「WITH ME…PLEASE」。
ただ、ヒロインが青年を誰と勘違いしたのかがはっきりせず、こういう些細な説明不足が意外ともやもやします。
あと、「死蝕人形」は主人公がいくら乱暴者とはいえ、気の毒に感じました。(押入れに木箱がある理由も不明だし…。)
雰囲気だけで、細かい説明が欠けている作品が多いような気がします。
2026年4月10・11日 ページ作成・執筆