渡千枝「ハロウィーン伝説」(1990年7月13日第1刷発行)

「10月31日の深夜、矢代家の両親と長女が何者かに殺害されるという事件が起きる。
 不動王仁彦は、その日付に運命的なものを感じ、調査を開始。
 十三年前の同日、錯乱した長女によって、彼以外の家族は、殺され、長女は自殺ていたのであった。
 殺害現場に潜り込んだ彼は、床下の物置に隠れていた次女の矢代日女子(ひめこ)と出会う。
 彼女はショックから失語症になっていたため、王仁彦が彼女の心を読むと、彼の家族が殺された時と状況は同じであった。
 彼は、芹沢警部と共に、矢代家から消えた、江戸時代初期の、女性の絵の行方を追う。
 すると、その絵と、王仁彦の実家の床の間にあった床柱とのつながりが明らかになる。
 絵の女性は、キリシタン弾圧時代に活躍した魔女、アンナであり、床柱にもとになった木材は、彼女を火刑にした際に用いられた十字架であった。
 そして、矢代家は、アンナを火刑にした僧、玄竜の末裔だったのである。
 王仁彦がこの事実に気が付いた時、日女子は、矢代家と関係の深い田宮家に引き取られていた。
 アンナは田宮家の長女、小百合に憑りついており、日女子を黒魔術の儀式のいけにえに捧げようとする…」
(「別フレ増刊 1989年ハロウィーン号」掲載)

2019年12月5日 ページ作成・執筆

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