蕪木彩子「お骨を配る少女」(1995年10月13日第1刷発行)
収録作品
・「お骨を配る少女」
「葉子の最愛の人、リョウが、心臓病で死んだ。
彼が死んだ日、彼女の夢の中に彼が現れ、彼が生き返る方法を教える。
火葬の後、残ったお骨と灰を、どの家でもいいから配り、最後に残った骨を葉子自身が食べればいいらしい。
藁にもすがる思いで、葉子は、夢で教わった通りに、彼のお骨と灰を配っていく。
お骨を配られた家では、次々と不幸に見舞われていくが、葉子の決心は揺るがない。
そして、最後に、彼女自らが彼の骨を食べると…」
・「夢中で殺人」
「いずみの親友、美保は、内気で、自分の殻に閉じこもりがちな性格。
美保はいずみに夢の中で殺人を犯したと話す。
殺した相手は、彼女をいじめる男子生徒や、彼女の恋する正志に言い寄る女子高生であった。
いずみは正志と恋仲で、美保が自分にも殺意を持っているのかと疑う。
そんな時、美保が夢で見た通りに殺害された死体が発見される…」
・「パパがママを殺した!?」
「高校受験を控えた愛子。
父親は有能な弁護士で、母親は美人の女流画家で、二人はいまだラブラブ。
だが、ある夜、愛子は、両親が、母親の浮気が原因で喧嘩をし、父親が母親に暴力を振るう場面を目撃する。
翌日、母親の姿は家にはなく、愛子はどこかに身を寄せているのだろうと考える。
しかし、母親が家を出てから、父親の様子がおかしく、愛子は不審を募らせる。
アトリエの床の修理、血の付いた衣類や凶器、そして、家に充満する異様な臭い…。
愛子はアトリエの床下に、殺害された母親が埋められているとではないかと疑うのだが…」
・「人形は何がお好み?」(1994年「月刊少女フレンド9月号増刊 サスペンス&ホラー」掲載)
「離婚した、留理子の母親が奇怪な死を遂げる。
母親の無惨な死体の横には、母親が大事にしていた西洋人形があった。
その人形を形見として手に入れて以来、留理子はどんどん美しくなる。
実は、この人形には人を美しくさせる力があった。
その代償は新鮮な生血で、留理子は犬や猫の血を人形に与える。
だが、動物では限界があり、このままでは、母親のように、人形の餌食となってしまう。
切羽詰まった留理子は遂に…」
個人的なお気に入りは「人形は何がお好み?」。
人形をテーマにしたホラーはたくさんありますが、蕪木彩子先生の描く人形は、こそこそと人を脅かすようなセコいことはせず、アグレッシブな吸血人形で、流石の一言。
人形のくせに、生血を前にすると、矢も楯もたまらず、動き出してしまうところが面白いと思いました。
2018年10月25・26日 ページ作成・執筆