関よしみ「強欲な女神」(1999年3月11日発行)

 収録作品

・「強欲な女神」(平成10年発行 デザート5月号増刊「サスペンス&ホラー」所載)
「保田美春は、高校入学式の時に、素晴らしくきらびやかで、美しい母子を目にする。
 そのあまりに若々しい母親の方は比留間魅夜、彼女の娘は比留間朝香という名であった。
 若々しいのも当然で、比留間魅夜は健康と美容の総合クリニックを都内でいくつも経営する実業家として知られていた。
 魅夜が美春の母親と中学の同級生だったことが縁で、美春と朝香は友人となる。
 また、美春の幼馴染の瀧口遼太も朝香に一目惚れをして、遼太も彼女と交際を持つ。
 新しく友人になった美春と遼太に、朝香は秘密を打ち明ける。
 秘密とは、朝香が、近いうちに、母の魅夜に殺されそうだということであった。
 魅夜は、朝香の若くて健康な身体に、自分の脳を移植して、美と健康を保とうとしていると言う。
 朝香は二人に魅夜を殺すように訴えるのだが…」
 楳図かずお先生の「洗礼」を髣髴させるストーリーであります。
 関よしみ先生の作品は、脳移植を巡るサスペンスと、「若さ」と「美」に振り回される家族が崩壊し、また一つとなるストーリーがうまく絡められ、単なる二番煎じではありません。
 佳作とは思いますが、どことなく影の薄い作品であります。一応は、ハッピーエンドだからでしょうか…?

・「処刑都市」(平成10年発行 デザート1月号増刊「サスペンス&ホラー」所載)
「小説家である母親が成功し、都心の一戸建てに引っ越してきた松葉一家。
 家のある地区は、環境美化特別条例が徹底され、道路にチリ一つ落ちていない、きれいなところ。
 しかし、あまりに厳しい取締りに、ゴミを捨てるに捨てれず、処理もできず、新居はゴミで溢れ返る。
 にっちもさっちもいかないまま、ゴミの山に家族は徐々に追い詰められていく…」

・「凍った涙」(平成10年発行 Kiss12月24日号増刊「サスペンス&ホラー」所載)
「年末、異常寒波に襲われた都心。
 降り続く大雪のために交通は遮断され、人々は孤立してしまう。
 あるマンションに住む一家は隣近所と協力して何とか乗り切ろうと努力する。
 が、極限状況の中、人々のエゴが噴出し、様々な悲劇が起こるのだった…」

2015年4月3日 ページ作成・執筆

講談社・リストに戻る

メインページに戻る