宇海冬香「破邪 天空の剣」(1988年12月13日第一刷発行)
「中国漢代末期。
あい続く戦乱により、かつては覇者と謳われた楊可柳星は深手を負い、逃げるうちに、仙界の入口に迷い込む。
このまま力尽き、邪鬼に喰われるかと覚悟した時、眩い光と共に、天女が現れる。
彼女は仙水を柳星に口移しで飲ませ、彼が意識を取り戻した時、彼の胸には、命を司るという綉花石(しゅうかせき)が食い込んでいた。
それから、三年。長沙。
柳星はあの天女のことを一日たりとも忘れたことはなかった。
ある時、彼は部隊を引き連れ、成都月亮覇(げつりょうは)に向かう。
月亮覇には漢のご幼帝が拉致されていた。
途中、柳星は天女と運命の再会を果たす。
だが、天女は人に恋したことで神仏の怒りを買い、白蓮(男性)と紅蓮(女性)という双子として下界に転生していた。
白蓮と紅蓮は陰と陽、光と影で、同じ「自分」でありながらも、対立する。
成り行きから、柳星は白蓮の部下となる。
白蓮は男でありながら、匂い立つような女の色香があった。
一方、紅蓮は、自分が下界に堕ちたのは柳星のせいだと敵意をむき出しにする。
彼女は柳星から綉花石を取り戻し、天界に戻ることが望みであった。
柳星は、天女の転生に邪鬼の動きを感じ、陰陽師玄海に相談する。
玄海は、この世の禍のもとは邪鬼たちがこの世に出ているせいで、その原因は、浄土四門を守る聖獣の一つ、玄武青龍が帝釈天の怒りに触れ、修羅界に墜とされているせいだと話す。
そして、この玄武青龍を目覚めさせるためには、天界の魂を持つ者が死して修羅界に下ることのみ。
だが、柳星は白蓮の部下であり、紅蓮を殺すしかない。
玄海は柳星に「破邪天空の剣」を渡した後、もう一つの方法について教える。
柳星の決断は…?
その頃、月亮覇の王宮では恐るべき陰謀が着々と進行していた…」
宇海冬香先生はファンタジー漫画を幾冊か描かれております。
また、「三国志」の大ファンとのことで、この作品は昔の中国が舞台です。
ただし、少女漫画家らしく、「ボーイズ・ラブ」の要素がかなり入っております。
そのため、男の私にとっては、ラストは納得できるような、できないような…。
2022年12月13日 ページ作成・執筆