松本洋子「殺人よ こんにちは」
(1983年12月6日第1刷・1985年8月31日第11刷発行)
収録作品
・「殺人よ こんにちは」(赤川次郎・原作/「なかよし」1983年7月号〜10月号掲載)
「夏休み間近な頃、進藤夕海子(14歳)の父親が心臓発作で急死する。
会社社長の彼は、仕事の鬼で、ほとんど家に帰らないような生活をしていた。
父親の死体と対面した時、夕海子は、母親が笑顔を浮かべているのを偶然、目撃する。
夏休みに入り、夕海子は、海辺の別荘に行く。
母親も遅れてやって来るが、彼女は金沢周一という青年と一緒だった。
彼は、母親の婚約者で、夕海子は彼への不信感を隠せない。
また、別荘には、夕海子の友人の秋津美香、そして、事業に失敗した叔父までも滞在することとなる。
ある日、夕海子、美香、周一の三人は、海岸から離れたところにある岩島へボートで渡る。
そこには、赤い服の女性の死体が流れ着いていた。
警察による調査の結果、女性の死体は、金沢周一の元妻、島田依子で、死因は絞殺。
夕海子は、前日、浜辺で休んでいる時に、彼女らしき女性を見かけたことを思い出し、警察へと向かう。
しかし、途中、夕海子が、去年知り合った男友達の巽(たつみ)と出会ったことから、事態は思わぬ方向へと進む。
犯人は、別荘の住人の中にいるはずなのだが…」
・「鏡のむこうに…」(「なかよしデラックス」1983年11月号掲載)
「リーリア=ニコルソンには予知能力があった。
彼女は、5歳の時、両親を亡くし、おじ夫婦に引き取られるが、祖母は強硬に反対。
その夜、リーリアは、鏡の中に、祖母が刺殺されるシーンを視る。
予知の通りに、祖母は刺殺され、庭番の男が犯人として捕らえられる。
男は無実を訴えていたが、刑務所で首吊り自殺し、リーリアは罪悪感にとらわれ、鏡のことは言わないと心に誓う。
そして、十年後、彼女は再び、鏡の中に未来を視る。
それは、おじ夫婦が交通事故死をするというもので、彼女は事故を止めようとするが、間に合わなかった。
落ち込むリーリアは、兄と慕う従兄のフィルに頼んで、精神科医に相談する。
そこで、彼女は、庭番の男の一人息子、ディーン=シモンズと再会する。
彼女は彼と付き合うようになるのだが…」
赤川次郎先生の作品、活字ではほとんど読んだことがありません。
ですので、「殺人よ こんにちは」のコミカライズに関して、どうのこうの言えないのですが、内容は非常にドロドロしてます。
「絵柄は少女漫画風なのに、内容は陰鬱、ヒロインは腹黒」な作品の多い松本洋子先生とは相性が良かったのではないでしょうか?
「なかよし」なのに、中学生の女の子が暴行を受けるシーン(直接的な描写はなし)があったりするのも、アグレッシブ過ぎであります。
個人的には、短編の「鏡のむこうに…」の方が良いと思います。
サイコ・スリラーと予知能力をうまく絡め、程よくまとまっております。
・備考
カバー袖をテープ留め。本体上部に折れ痕あり。
2020年1月15日 ページ作成・執筆