井口かのん「怖いくらい当たるから…」(1997年1月13日第1刷発行)
収録作品
・「罪の迷宮」(1993年「月刊少女フレンド9月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「放送部の栗原美砂はユキ先輩に片想いをしていた。
ユキ先輩には礼子という彼女がいて、二人はとても仲睦まじい。
ある日、美砂は、礼子に関する噂を聞く。
それは、ユキ先輩には麻生という恋人がいたが、礼子にユキ先輩を奪われ、麻生は自殺したというものであった。
以前、麻生に声が似てると言われた美砂は、テープに「ユキ…好きよ…お願い…ユキを返して…」と吹き込み、放送の際に礼子に聞かせる。
礼子はただ蒼ざめて震えるだけであった。
翌日、登校途中に礼子は車道にふらふらと出て、事故死する。
美砂は罪悪感に苛まされるが、この事故がきっかけで、ユキ先輩との距離が縮まり、両想いになる。
だが、彼女の前には陥穽が待ち受けていた…」
・「怖いくらい当たるから…」(1995年「月刊少女フレンド6月号増刊 サスペンス&ホラー」)
「三浦洋美は、友人のマル子に、本当に当たる占い師を教えてもらう。
その占い師の女性に、気になる二人の男子のうち、どちらを選んだら良いか聞くと、その相手だけでなく、告白する日時まで示す。
それは的中し、また、試験のヤマまでバッチリ。
ただ、占い師は、占ったことは秘密厳守だと釘を刺す。
洋美は、迷ったら、ここに来ればいいと、ことあるごとに占い師を訪れる。
彼女は占いに従えば、幸せになれると信じるのだが…」
・「おとな狩り」(1996年「月刊少女フレンド6月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「中学生だって毎日、大変。
家でも学校でもストレスまみれで、放課後は遊ぶ暇もなく塾通い。
岩辻さくらは、元気なケンちゃんと、優しいてっちゃんの三人で塾から帰る一時間が、一日で最も楽しい時間であった。
ただし、彼らの時間の邪魔をする大人には容赦のない制裁を下す。
彼らに絡む酔っ払い。
塾生に手を出すセクハラ塾講師。
煙草をポイ捨てする男や夜中にゴミを捨てるおばさん等…。
ある夜、彼らは、ある車を見かけた彼らは、その車に忍び込むのだが…」
・「逢いたい…」(1996年「月刊少女フレンド1月号増刊 サスペンス&ホラー特集号」)
「何の予定のない日曜日。
雪乃は家に一人ぼっち。
彼女は、兄とその友人の孝宏について回想する。
彼らは幼なじみで、雪乃は孝宏を慕っていた。
しかし、長ずるにつれ、二人の間には距離ができ、その差は広がるばかり。
最後に会った時、彼女はすっかり子供扱いされ、「おめでとう」の言葉を言いそびれてしまう。
激しい後悔と共に、彼女は彼に「もういちど…逢いたい」と強く願う。
すると、彼が彼女の家を訪ねてくるのだが…」
「怖いくらい当たるから…」と「おとな狩り」が良い出来と思います。
特に、「怖いくらい当たるから…」は意外かつ皮肉なラストで、唸らされます。
「逢いたい…」は良い話なのですが、あの時代にあの髪型はありえないのではないでしょうか?
2021年8月11日 ページ作成・執筆