さがみゆき「死霊餓鬼の館」(1989年1月13日第1刷発行)
収録作品
・「死霊餓鬼の館」
「中原純子は、母親が古い映画を目にして怯えたことを奇妙に思う。
純子のボーイフレンド、圭介と共にその映画を観返していると、彼の祖母も顔色を変える。
純子と圭介が調べると、古のスター、愛川みずきとどうも関係があるらしい。
愛川みずきは、別荘に滞在中、豪雪に見舞われ、22歳という若さで、餓死していた。
そして、純子も圭介も、その餓死事件の際に別荘に滞在していた、愛川みずきの友人達の子孫であった。
また、純子の母親も、圭介の祖母も、愛川みずきの怨霊が餓鬼となったと信じ込んでいた。
というのも、純子の母親が若い頃、廃墟と化した別荘で、その子孫が二人、愛川みずきの亡霊に食い殺されるという事件があったからである。
その別荘は今はペンションに改装され、訪れた純子と圭介はそこで写真を撮る。
写真に写った、愛川みずきの怨霊を目にした、圭介の祖母は、事件の真相を語り始める…」
イマイチよくわからない作品です。
最後のどんでん返しで、「なら今までのは一体何だったの…?」という気分になってしまいます。
描きとばした感がありありで、もっと丁寧さが欲しかったところです。
まあ、言葉を換えると、「貸本怪奇マンガ」らしい作品でして、それはそれでありかも。
・「寄り添う影」
「夕湖は夜、兄が就寝中にうなされていることに気付く。
寝室を覗くと、兄の枕元に、痩せこけた女性の霊がたたずんでいた。
次の夜も、うなされる兄の枕元に、同じ女性の霊が現れる。
家族は誰も信じてくれず、夕湖は霊をポラロイドカメラで撮影。
撮影は成功するが、今度は、夕湖がその女性の霊に憑りつかれる破目となる。
慌てた夕湖が、友人の桂子に相談すると、写真の女性に心当たりがあると言う。
それは、夕湖の兄の同級生で、現在、病院で闘病生活を送っている女性であった。
夕湖は兄、桂子と共に、その女性を見舞うのだが…」
まとまりのある短編で、こちらの方が出来はいいです。
「愛執により生霊となる女性」というテーマも、さがみゆき先生好みですよね。
2017年3月25日 ページ作成・執筆